「不思議な夜に4」 キュヒョン×イトゥク
「男同士でそんなことしてどうすんだよ」
苦笑しながら逃げるように体を反らせたのに、キュヒョンはもっと間合いをつめてきた。
「だからどうなるか確かめてみたいんです」
「したことあるだろう?どうにもならなかったよ」
「あんな人が大勢見てる前でやるのじゃなくて、本気の」
「お前目が怖いよ」
また笑いながら後ろに下がると手首を捕まえられる。完全に目がすわっている。
「俺より酔ってんのか」
「どうでしょうね」
キュヒョンは全くひるまない。真顔で俺を見つめて、顔を寄せてきた。
後ろに下がりたいのに、捕まえられた手首のせいでできない。力が強くて、やっぱり俺の方が酔ってるのが分かった。
とっさに片手で防ぐ。
「待てよ!本当にどうしちゃったんだよ」
「ヒョン、こっち向いて」
向けるか!顔を背けて防御する。
「おっさんだぞ俺は!」
「おっさんじゃなくてトゥギヒョンでしょう」
顔の前に出した片手まで掴まれた。
また顔を近づけてくる。
「やめろって!」
顔を思いっきり背けると、ちょっと悩んだ表情をして、体重をかけてのしかかってきた。まさかここまで本気でくると思わなくて、もっと前に全力で抵抗しとけば良かったと後悔する。
完全に押し倒された。
背けないように両手で顔を抑えられて、恐怖さえ出てくる。顔が近付く。
「待て待て待て待て!」
「待ちます」
そう言ってその顔が少し離れた。いやいや、ここで言うこと聞くならもっと前で聞いてくれよ。
顔を両手で固定されたままキュヒョンを見上げる。というより怖くて目が閉じられない。キュヒョンもじっと俺を見ている。
「離れてよ」
「嫌です」
何でそこは聞かないんだよ!
つづく