夢の続き

東方神起、SUPERJUNIOR、EXO、SHINeeなどのBL。
カテゴリーで読むと楽です。只今不思議期。

「Rabbit's Adventures in Wonderland 1」ユノ×キュヒョン

*組み合わせはタイトル通りです。何でも許せると言う方のみご覧ください。



大きな穴に落ちたようだった。
気が付いたら、教会にいた。
気が付いたらって言うのは事実じゃない。事実じゃないけれど、そう言う気分だった。
パイプオルガンの音が聞こえる。
本物じゃなくて、CDか何かがかかっているだけだ。
頭上の大きなガラス窓から、溢れる様な日の光が降り注いで、今日と言う日を祝福している。
俺は、神父の前に立っている見慣れた人間を眺める。
意識は、どこか遠くにあると思った。
その人間は俺よりも、もっと奥を見ている。
誰かを待っている。
天使が舞っているような輝く白いベールに包まれた、美しい人が、入り口から登場して、ゆっくりとその人間に近づいていく。
夢みたいに、残酷な瞬間だと思った。


おめでとう。
おめでとう。


幾度も同じ言葉を投げかけられながら、特別な日を過ごす自分のパートナーを遠くから、見つめる。そしてたまに写真に入るために、近づいたりもする。
パートナーと言っても、仕事上のパートナーで、でも自分達は長い付き合いだった。
そしてこれからもその付き合いは続く。
二人だけの、アイドルグループだったのと、歴史もある。
自分達は特別だった。
しかし、いつか来ると思っていた。
思っていたが、なにしろアイドルだったから、なかなか許されないだろうとは踏んでいた。
だけど国にある兵役も終わり、年齢とともに活動は落ち着きを見せて、もともと自国より活動する方が多かった国でも、やっぱり少しずつ、アイドルという枠は薄くなっていき、自由がきくようになって。
今日、チャンミンは結婚した。
おめでとう。
心の底からその幸せを願っているよ。
弟のようだったパートナー。
でも俺が願わなくても、十分に幸せそうな顔をして、とても可愛い年下の花嫁と一緒に、みんなにからかわれながら、新しい門出を出発している。
眺めていたけど少し疲れて、一人、二次会の会場を出て廊下に出た。
酒には酔ってないけれど、外の風を感じたい。
そこから出られる場所はないかと、辺りを見廻していた。
非常口の方を向いた時、後ろから声をかけられた。
「お疲れ様です」
振り返る。
同じ事務所の後輩で、パートナーの親友だった。
「お疲れ」
微笑みを作った。
「どうしたんですか?」
お互い蝶ネクタイの黒いタキシードで、向かい合っていた。
「ああ。ちょっと外に出たくなって」
芸能関係の仕事が、この国では殆どなくなってきた俺とは異なり、今でもずっと大活躍のこいつを見て、大昔は逆だったのに、そういうものなんだな、と思いながら返した。
「向こうの景色が綺麗ですよ」
斜め横の廊下の奥を指される。相変わらず肌が白いなと思った。栗色の髪も変わらない。
「そっか。ありがと」
俺は笑いかけて、赤い絨毯が敷かれた廊下を踏み出し、その前を横切る。
「言わなかったんですね」
脚を止める。
振り返ると、微かに寂しそうな笑みで、見据えられていた。
それから、「俺も行きます」と歩き出された。
別に制止することもなく、そっと息は吐いたけれど、二人で歩く。
廊下の奥に、もう一つ非常口があった。
「開けます」
俺の前に手を伸ばして、扉を開けられる。男にしては白くて綺麗な手だ。
夜の町が見えた。
そんなに高い階じゃなかったけれど、周りに何もないところだからか、遠くまで見える。
ただ何もないし、街灯も少なくて、向こうにぽつぽつと明かりがついた単なる暗い風景だった。
だが夜風を感じた。
先に出るように顔で促されたから、そうする。
全身を気持ちの良い空気がそよいでいる。
夜の町は、本当に何もなかった。
隣に来た。
「ユノさん」
眺めながら返事はしなかった。何を言い出すか、分かっていたから。
「良いんですか?」
少しだけ、目をやったけれど、また、俺は風景を見下ろした。
「何が」
と言うと黙られた。
無言のまま暫く二人で見下ろしていた。
「キュヒョン」
「はい」
「お前こんな所にいていいの?」
キュヒョンが腕時計を見る。
「まだ大丈夫です」
それに、と言いかけて、とめる。
そちらを見ると、伺うような顔も白い。
「戻る時は、一緒で良いでしょう」
黒い瞳も何かを連想させた。
思いつかないまま、もう一度夜の町を見た。
「言えば良かったじゃないですか」
あんなに好きだったのに。
と言われながら、特に綺麗ではないのに、この夜景をそう表現したそいつを見ると、何も動じていないような、でも、察している、切なげな目で見つめられた。
「俺とお前だけの秘密だ」
誰にも言ったことはないのに、こいつだけが嗅ぎつけただけだ。
「だから、早く忘れて」
そう続けて、タキシードの肩に軽く手を置いて離した。
中に入れば明るいのに、自分達だけがこんな場所にいる。
俺だけでいいのに、一緒に迷い込んできて、何なんだろう。
次は人に呼ばれるまで、もう話すことはなかった。






つづく

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