夢の続き

東方神起、SUPERJUNIOR、EXO、SHINeeなどのBL。
カテゴリーで読むと楽です。只今不思議期。

「ねえ、俺のこと愛してくれる?2」ヨンファ ジョンヒョン CNBLUEの長編

                      




目を見開き、動けない俺は、テレビ番組だろうかと一瞬考え、いや、そんな権限は持てないはずだと否定する。
これは何だよ。
とりあえず警察と、その後ろに置かれている自分のコートを見たが、やはり視線は男に釘付けられた。
吸い込まれそうな二つのそこは、こちらを見つめ、楽しいのか、嬉しそうに笑って見えた。
そして、
「でもその一か月、俺の恋人になれば、助けてあげるよ」
とにっこり微笑んだ。
は。
息を吐き出し、眉を寄せた俺の目と鼻の先に、男の顔があって、呼吸を止める。
「どう?ヨンファ」
目が可笑しい。どうやってあの距離移動したんだ。
俺は、夢でも見ているのか。
近いと、こちらより背が高いことが分かった。なんて顔だ。演技力があれば、俳優やれるよ。でも、それより。
手を伸ばした俺は、その背後で少し動く大きな黒い羽を触った。
冷たい、というか温度がない。
だけど、この手触りは。
凝視している俺の前で、その短く柔らかい産毛が生えたそれが、ばさりとひらめいた。
唖然とした俺の腰に腕が軽く巻かれる。
「面白い?」
端正な顔が覗き込んだ。
密着され、男とまるで愛でも語っているみたいな距離でも、驚きのあまり声が出せなかった。
「何か喋ってよ」
俺より長い前髪が、そちらも目にかかっている。黒い羽根に全身黒ずくめなのに、髪は鮮やかな茶色で、瞳の色も少し薄く見えた。
「ヨンファ」
見上げたまま、触っていた手を、密着された体勢からその二の腕に自然とのせる。体温のない肌。
ゆっくり瞬く長い睫毛の中は特に、人間っぽくなかった。
「声聞きたい」
見つめてきながら、綺麗な形をした唇が、短くそっと俺の唇に触れる。
「ねえ、俺はあなたに夢中になった、悪魔なんだから」
温度がないそこで、そう呟いた。
反応のない俺を、楽しむように名前を呼びながら何度も口を啄まれていた。
我に返って、その身体を押しやる。男とキスした不快感を掌で拭きながら、「冗談だろ」と問うと、離れても間近にいたそいつは、「まさか」と笑った。
顔の骨格と、長い目のせいか、笑顔は悪魔的な恐ろしさがあったが、不思議と人間くさく感じられた。
「あなたは一か月後、今一番手を焼いているストーカーに刺されて死にます」
嘘だ。
にっこり笑った男に思いながら、口に出せない。
こいつがいるからだ。セキュリティーチェックの厳重なこの部屋に、涼しい顔で、さっきまで何もなかった場所に、本当に、召喚でもされたように現れて。件のストーカーでも入って来れたことなんてないのに。
あの女――。
瞠目しながら、今警察につきだしたらと考えて、つきだしても実害がなくてどうやって罪にするんだと考えを巡らす。
大体出て来て、いつ殺されるか。
あいつは危ないと思っていた。上手く紛らわせて送られた異常なプレゼントの数々。仕事もプライベートも関係無く、恋人とのデートにも付いて来られた時は頭に血が上った。
最初の実害でそんなもの、洒落にならない。
しかし、これで警戒するし、女一人に情けないけどガードマンもつけられる。
「ガードつける」
「できないよ。ヨンファは死ぬ。これは運命だ」
微笑のとれた眼差しが、こちらを射抜いた。落ち着いた声が、背筋を震わせる。
鼓動がうるさい。
一か月?そんなの何の心構えも出来ていない。俺はこれからもっともっと有名になって、歌も出して、世界中に愛されるはずなのに。
「俺に言った時点で、運命は変わるだろ」
呆然と呟くと、「無理だよ」と返してきた男を見やる。
「なぜなら、あなたは俺と会う前に戻るから」
立ち尽くしたまま、この酷い夢から起きようと瞬きを繰り返した。だが、そこにあるのは、黒い服を着て、大きな蝙蝠の羽を持つ――。







つづく

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