夢の続き

東方神起、SUPERJUNIOR、EXO、SHINeeなどのBL。
カテゴリーで読むと楽です。只今不思議期。

「本日はお集まり頂きまことにありがとうございます」フェリシティ檸檬 D.O. バグジー シウォン カンイン オニュ T.O.P…(誕生日記念)


視界に白いテーブルが入っている。
艶々と光っていたので、これはきっと綺麗に拭いてあると思ったまま、フェリシティ檸檬は、周りを見渡した。
隣の窓硝子から景色は見えなかったので、どうやら夜のようだ。
暗かったが、気分はまるでたった今起きたかのように清々しい。
しかも、下を向くと本当に自分は部屋着姿ではないか。わざわざ手を加えなくとも、しっかりと整った眉を寄せ、前を見た。
「え」
思わずかけていた眼鏡を触ってしまった。
「あれ」
向こうも声を上げた。
「なんだこれ」と似たような反応をしている良く知った男を、フェリシティ檸檬は呆然と眺めていた。
自分達はボックス席にいた。もう一度見渡すと、古ぼけた喫茶店に見えた。白熱電球が天井についている。
ステンドグラスのようなカバーがとてもレトロに見え、「こんなの部屋に欲しいな」と思ったが、しかし、フェリシティは意識を前の男に戻した。
四人座れば満員のボックス席の向かいに芸能人がいた。彼を主役にして、男同士の恋愛物語を書いていたが、その本人が目前に存在している。
夢だよね。
フェリシティは訝しく見つめながら、彼のきめ細かな素肌や、眩しく光る白目の具合を確かめる。
確かに彼だと、膨らんだ唇に皺がないこと、雰囲気のある顔立ちなどに思っていると目が合った。
「フェリシティ檸檬?」
まさか、その口が自分の名前を言うと思わず目を瞠ったが、それよりも状況が状況だけに胸の高鳴りで返事も出来なかった。自分と同じく部屋着らしいスウェット上下を着た韓国のアイドルがいると言うだけで発声を忘れたようになった。
それは、十中八九異性愛者である彼を題材に同性との恋愛を書いてしまっている罪悪感も少ないがあった。しかし、自分の描くものに誇りを持っていることを思い出し、頷いて見せた。
「それあなたの名前ですか?」
そう彼が喋っているのは韓国語だったが、すんなりと理解できている。夢でなければ何なのだと困惑顔でフェリシティはまた頷いた。
「ぼくの名前はギョンスです」
不安げにも礼儀正しく名乗った青年の名前は知っていたが、「そうですか」と返しながら「それ」と言う台詞を頭中で繰り返した。
それとは?
じっと来る視線を辿り、自らの首元を見た。先ほどは気付かなかったが、車のナンバープレートのように白く小さなホワイトボードに書かれた名前が、首からかけられていて、フェリシティはぎょっとした。
慌てて、紐とボードを頭からすっぽり抜き取った。
しかもこれは本名ではない。どうせ呼ぶなら本名にして欲しいと思ったが、一度は強く惹かれたアイドルの真摯な眼差しを受けると、部屋着姿で名前を首からかけていた自分に恥ずかしさを覚え、そちらにばかり気がいった。化粧はしているかと頬や目の周りをそっと触れてみたが残念ながら、それもされていない。
「なんか不思議ですね」
また話しかけられたが、フェリシティは、では髪はどうなっているのかと触って、昨日風呂に入ってから一晩眠り、その状態であるのが感触から伝わり「酷い」と感想を抱きつつ、「そうですね」と返した。さりげなく手で髪をとかした。
「あなた日本人ですね。俺、日本語あんまり分からないのに、分かります」
「同じですよ」
「ここは日本なんですかね。韓国なんですかね」
窓の外に目を凝らす大勢のアイドルグループの一員であるギョンスに、本当に本物だ、と息を呑んだ。短髪の黒髪に強い目元や高い鼻筋、唇を見つめたのち、日本には自分のパートナーがいると一緒に暮らしている人間の存在も頭をかすめた。だが、別に心苦しいことをしたわけじゃない、とそれはすぐに消えた。
「あれ?犬?」
言われて、フェリシティは横から「はっはっ」と少し息苦しそうな呼吸音が聞こえるのに気付き、隣に向いた。
白地に黒いぶち模様をした犬が前足二本をテーブルについて、座席に立っている。
横に広い口元をだらりとあけ、平たい舌を斜めに出している。潰れた顔を見て、「パグだ」と犬好きのフェリシティはぐりっとした目を輝かせた。可愛いさに、頭を撫でようとするとさっとかわされた。
「それ、シウォンさんの犬に似てる」
ギョンスがそう呟いた時、「良かった。間に合った」と言いながら長身の男が通路を走って来た。テーブルの脇で両膝に手を置いて、呼吸を整えている。
額の汗を拭い、「フェリシティ檸檬さんおめでとうございます」と爽やかに笑った。
その笑顔を見上げながら、フェリシティは普段からメディアにうつる彼を見て、顔立ちが濃いと思っていたが、それは本当だと確信した。
それから「もしかして、今日は……」と思い出した。
「そうだ。誕生日だ。あなたのこと知らないのに、誕生日ってことは知ってる」
呟いた正面のアイドルに目を向け、続けて「おめでとうございます」不審げに言われ、「ありがとうございます」とフェリシティは二人に返した。
そうだ。私の誕生日だ。
今更のように思い出し、そんな日に本物の韓国アイドル二人となぜか一緒にいる自分を夢っぽくないがやはり夢だろうなとフェリシティは思った。シウォンは、犬を抱き上げてそこに座った。
 「お利口にしてたか」
潰れた顔じゅうに彼がキスをすると、「ばふ」と犬が鳴いた。そして、「あれ、まだ料理来てないんですか」と気づいたようにシウォンが言った。彼はギョンスとは違う別のアイドルグループのメンバーだ。良く見ると、その服装もパジャマで、滑らかなシルクの生地をまじまじと眺めて、フェリシティは「気持ち良さそうだな」と思った。
すると。
 「お待たせしました」と、後ろに一つ括りした黒髪のウエイトレスが、大きな皿を片手に持って来た。疲れた表情でテーブルに置くと、もう片手に持っていた小皿を「はっはっ」と呼吸をしている犬の前に置いた。
驚くほどの大皿に高く盛られた肉は、良く煮込まれた色をして、湯気を立てていた。
フェリシティが隣を見ると、犬の前には茹でられただけのような白い肉が置かれていた。それを見て、煮込まれた肉の正体は豚足だと気づいた。
「来た来た」
とシウォンが元からのにやけ顔をもっとゆるませた。
「豚足ですか」
眉をひそめたギョンスの顏に、フェリシティは同意しかけたが、良い匂いに流されたのか「じゃあ、食べましょうか」と彼が再び呟き、それに何も言わず従った。
箸もなくどうやら手づかみで、手を伸ばしたシウォンに続いて、ギョンスと熱い豚足を掴んだ。
ウェイトレスが高く積んだ小皿を追加で持って来、テーブルの端に置いて行った。
皿を一枚ずつ取ってフェリシティは二人の男と一匹の犬と同様に肉にかぶりついた。味は悪くなく、脂肪とコラーゲンのとろけるような舌触りも好みだったが、ケーキで祝わないのだろうかと疑問を抱いた。
全員無言で食っていると、「はじまってるなあ」と声がして、全員で手を止めた。
フェリシティは声に出さず「うわ、カンインだ」と男の名前を思った。
シウォンのグループ所属の別のメンバーだったが、活動休止しているからか中年太りが顔周りに出ていた。しかし、にこにこと嬉しげにしていて、フェリシティはそれにつられて表情を和らげた。
「そっちの隣良いですか?」
と、聞かれ反射的に頷いた。しかし、犬がシウォンの膝から通路に駆けおり、シウォンと共に立ち上がりながら、ボックス席を二度見した。三人座るにはかなり詰めなければいけないだろう。
構わず、カンインはTシャツとボクサーパンツ姿で素足にスニーカーを履いていたが、窓際に座った。
シウォンに爽やかにどうぞと掌で示されフェリシティはほくろのある口元を引き結びながら、複雑な心境で隣に座った。シウォンがすかさず並んで座り、そこに犬が飛び乗った。
体格の良い男二人に挟まれて、つぶされそうになりながら、「美味そうだなあ」と言って豚足を掴んだカンインに続き、手を伸ばした男達に合わせて、フェリシティもそうした。
尻尾を振って食べる犬を横目に見ながら、ほぼ仕方なく食べていると、「フェリシティ檸檬さん。おめでとうございます」と言われて、また全員が動きを止めた。
フェリシティは目を丸くした。
細い目をもっと細めて、微笑んでいるアイドルがいた。彼の歌声には惹かれるものがあり、フェリシティは、気分が高鳴った。
「オニュ……」
と名前を呟いてしまい、慌てて「あ、ありがとうございます」とその名前にさんをつけて呼んだ。
ロゴ入りの白いTシャツにハーフパンツのオニュは、茶色の短髪をシャワーを浴びて直ぐだったのか濡らしたまま、肩にタオルをかけて立っていた。
オニュだ。歌って欲しい、とフェリシティは思ったが、「ここいいですか?」とシウォンに尋ねている彼を見て、言い出せず口を閉ざした。
それよりも、「いいよ」とぱかっと唇を開けて笑顔で返したシウォンが自分の方に詰めて来て、フェリシティはそちらに気が逸れた。
おいおい。と思ったが、オニュはシウォンの隣に座った。
ほぼ、シウォンとカンインの太腿に乗り上げているフェリシティは隣の犬と同じ状態になっていることに気付いた。
さっきの気分の高まりも忘れ、オニュになぜ向こうに行かないと怒りを覚えそうになったが、むしろ自分がこの中では小柄なギョンスの隣に行きたいと思った。
実際は体格の良いカンインとシウォンの硬い太腿の上で、一人は素足だったので生えている毛のざらつきまで感じながら、座っていた。
「じゃあ、食べますか」
ギョンスが呟き、五人と一匹は冷めて来た豚足を食べ始めた。
そうしていると、こつこつと窓が鳴り、全員が顔を上げた。
フェリシティはぎょっとして、窓の外に目を瞠ったが、すぐに顔を逸らした。全裸の長身の男が立っていたのだ。
「T.O.Pさんだ」
ギョンスの呟きを聞かずとも、彼が誰であるか知っていたが、まさかアイドルの全裸を見るとは思わず、頭の中でフェリシティは目にしてしまった股間をもう一度思い出した。その形状を深く記憶に焼き付けた。あとで同じくアイドル達で小説を書く友人に伝えようと思った。
店内に入って来た全裸の男に誰も騒がず、今ボックス席に座っている彼らとは事務所の違う顔の整った背の高いアイドルを、フェリシティ以外の全員がにこやかに迎えた。
「休暇中で家にいたんですけど、フェリシティ檸檬さんが誕生日だから」
そう言って、筋肉で締まった裸の男が凛々しい目元を弧にして笑いかけて来たから、仕方なくフェリシティはその姿を直視して「ありがとうございます」と言った。
彼はギョンスの隣に座った。衣服を着ていないことを気にせず、ギョンスは彼に憧れに近い表情で、横目でちらちらと見ている。
それに気付き「久しぶりだよね」とT.O.Pは話しかけた。
低い声を聞き、ああ良い声だなとフェリシティは思ったが、彼の姿を見て閉口した。良い声で端正な顔をしてるのに、全裸なんだもんとひとりごちた。
「うまそうですね」
裸のT.O.Pが良い声で言うと、「おお。食べようぜ」とフェリシティのほぼ耳元で、カンインが答えた。
アイドル達が沢山いるのは素晴らしいが、感じたことのないむさ苦しさと圧迫感にフェリシティは気が遠くなりかけたが、食を再開した男共につられて、豚足を手に取った。
「うまいな」
耳元でカンインが言うと、「美味しいですね、兄さん」とシウォンが反対側の耳元で言う。
フェリシティは、自分の為に集まってくれたことは有り難いが、望んでいた誕生日はこんなものだったろうかと疑問を抱きながら、やけになって豚足に喰らい付いた。隣で周りの人間達に合わせて食べている犬だけが癒しのように感じた。
豚足の細かい骨を皿に入れながら、無言で皆食っていると、「すいません、もう始まってますね」とパーカーにスウェットパンツを履いた男がテーブル横に来た。色白で目元の堀の深いとても整った顔立ちだったが、頬骨が高い顔が苦手なフェリシティはこの人間のことも知っているし、キャラクターも好きだったが、好意よりも興味で「ジョンヒョンだ……」と見つめた。
また事務所の違うアイドル的バンドのギター担当だが、ギター片手に来ていた。少し弾いてみてほしいと思ったが、ジョンヒョンはあっさりとそれを座席の横に立てかけ、全裸のT.O.Pの隣に座った。ジョンヒョンも背が高く鍛えていたのもあり、T,O.Pとフェリシティ檸檬と犬がほぼ同じ状態になった。
「良かった。豚足なら食える」
と、T.O.Pの下で微笑んだ顔をフェリシティは凝視する。やはりすごい顔だなとジョンヒョンに思った。
「なんかさ、気付いたら活動休止メンバーが集まってない?」
豚足を全員が貪る中で、カンインがこぼすと、「本当ですね、兄さん」と肉を食う音に混じって、二人の男に耳元で声を出され、フェリシティは顔をしかめた。
「ギョンスは違いますよね」
オニュも席の端で答えた。
「ジョンヒョンさんも違いますよ」
ギョンスが言うと、「でも、僕あれだし」と肉に食らいつきながら、答えられ、沈黙が流れた。
「でも、シウォンさんは違いますしね。飼い主ってだけだから」
細かい骨を吐き出しながらギョンスが沈黙を破ると、
「バグジーが悪いなら僕も悪い」
と耳元で呟かれ、また沈黙が流れた。
ならず者の集まりと言う言葉がフェリシティに一瞬よぎったが、いやいや、D.O.ことギョンスは違うし、犬も悪くない、私もそう言うのじゃないし、と否定した。それに豚足を誕生日に七人と一匹で貪り食っている状況に比べたらどうでも良いことだとふと思った。
「なんかそういうのじゃない人が来ないかな」
オニュが呟くと、「そういうのって言うなって」と言われて、フェリシティはシウォン側の耳元を肩でごしごしと拭いて何かを誤魔化そうとした。
「骨が凄いな」
今度はカンイン側の耳をごしごしと肩で拭いた。
「バグジーにあげれば良いんじゃないですか」
「いや、うちの犬そういうのじゃないし」
「もうそういうの言い過ぎですよ」
オニュに答えたシウォンにギョンスが笑うと、ふはっとフェリシティも一緒に全員で笑った。
「あ、あれ、ユチョンさんだ」
手を振りながら、入り口からやって来た五分刈り頭の男を皆で見た。中年に近い感があるが、可愛らしいプリントデザインのパジャマ姿で微笑んでいる。
また事務所の違う彼を、後ろ向きに見ながら、かつて自分が一番熱狂したアイドルをフェリシティが懐かしさや、老けたなと言う印象、やはり肌質は魅力的だと言う眼差しで迎えたところだった。
布団の上で、目が覚めた。
やっと夜が明けて来た中で、隣を見ると犬ではなく、自分の男がいた。そろそろ起きる時間なのは感覚で分かった。
「ねえ」
と言って、その肩を触った。
むにゃむにゃとしながら「なに」と返事がされた。
「私、すごい夢見たんだけど」
ふーんとどうでも良さそうなそれに苛立ちながらも、思い出して一人で笑ってしまった。
「本当にすごいんだよ」笑ったままフェリシティは、「もっと寝てなよ」とそのあとに呼ばれた本名で、目覚めてしまった切なさを感じたが、やはりまだ笑っていた。
「聞いて下さいよ」
ギョンスは、ニュース番組に釘付けのリーダーにコーンフレークを食べながら話しかけている。
「うんうん。聞いてるよ」
「いや、聞いてないでしょ」
「みんなで祝ったんでしょ」
「そうですけど」
同じものを食べ、こちらを見ないグループのリーダーは置いといて、ギョンスはもう一度思い出した。
何だあの夢は、とまた可笑しくなってきて笑ってしまう。
自分の一番好きなものが出て来た夢だったと飛び起きて、バグジーは隣にいたその好きなものをべろべろと舐めた。
あくびしながらまだ目を開けない飼い主は、顔中舐められて「分かった。分かった」と犬の頭を撫でた。
それから、小さく噴き出して笑い、目を閉じたまま、「お前が出て来たよ」と呟く。
「ばふ」と鳴いて返事をしたパグを抱え込みながら、「いっぱい食ったな」とシルクのパジャマでもう一度眠りに落ちて行った。
以下は略……







『本日はお集まり頂きまことにありがとうございます』フェリシティ檸檬 D.O. バグジー シウォン カンイン オニュ T.O.P…(誕生日記念)  おわり







一日遅れましたが、自分も参加を。お誕生日おめでとう!フェリシティ檸檬さん!

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