「PLAY19」ユノ×チャンミン
息が止まった。
俺の唇の感触を確かめるような、唇でつまむような簡単なキスがされて、すぐ離される。
でも今回離されたのは体ごとで、離しながら俯いたチャンミンが、
「俺も酔ったみたいなんで先帰ります。ヒョンちゃんと戻って下さいよ」
三階ですから、と俯いたまま口の端を上げて、こちらの反応も見ず、廊下を歩きだした。
残された俺は、自分に起こったことが理解できず、そのまま壁にもたれて立ち竦んでいる。
恐らくチャンミンの乗ったエレベーターの音が聞こえて、我に返ったように体を起こす。
一体、何なんだ。
チャンミンに電話をしようと履いていたジーンズから携帯電話を探すけれど、ない。
会場に置いてきたらしい。
十字になった廊下の奥にエレベーターが見えた。わけわからず向かって、ボタンを押すけれど、来たのは当然、空になった箱だけだ。
言われた通り三階を押すと、見たことのある店が見えた。
「またあっちに行ったよ。明日は移動だけだし、チャンミンも少し飲みたいだろう」
と、スタッフのほぼ全員ができあがっている中、素面のマネージャーが俺に言った。
「結構飲んでたみたいだけど」
帰ったんじゃないのか。チャンミンはまた日本の友人のところに戻ったみたいだった。
「こっちでは飲んでないよ。着いてすぐお前を探しに行ったし。トイレに行ったと思ってたから、焦ったよ」
お前は帰るか?と言われて、狐につままれたような気持ちのまま、
酔いと疲労が酷かった俺は、そのまま東京の宿舎に帰った。
つづく