「Kiss me,baby.9」ユノ×チャンミン
言われなくてもつけませんって。
シャワーを浴び終えた俺は下着一枚でベッドの端に腰を下ろして、俯いて溜息をつく。
顔を上げると、デスクに置かれたリュックが視界に入る。なんとなく立ち上がって、それを見下ろす。中を開いた。
内ポケットから取り出して、ベッドに腰を下ろす。
片手でつまみあげて、顔の前に持ってきた。
俺の好きそうなデザインだ。
ユノがつけるんだから、ユノの好きなのにすればいいのに。
まだ、タグさえはずしてなくて、ブランド名のついたのがぶら下がっている。
良く考えれば、こんなプレゼント貰ったの初めてかもな。
いや、昔、デビュー仕立ての時何か貰ったか。
他愛ない物だったような気がするけど、それはもう思い出せない。
そういや、あれも貰ったんだ。
もう枯れて、居間のローテーブルからなくなったものを思い出した。
ユノはロマンチックだな。知ってたけど。
彼女なら喜んだだろう。
こんな状況じゃなければ、折角ユノから貰ったものだし……まあ、つけても良かったんだけど。
「つけるな、か」
また内ポケットにしまって、そのままベッドに寝転がった。
横向きになって、リュックを見つめる。
こんな状況じゃなければな……。
つづく