「This is love comedy.11」ユノ×キュヒョン
朝です。
目が覚めて、携帯電話をみると、ミンホからメールが入っていた。「セーフです。全く覚えてないそうです」と書かれていた。
まぁ、良かったんだけど。
「はぁ……」
何か起き上がれないな。俺もまだ酒が残ってるみたいだな。玄関のブザーが鳴った。
マネージャーだな。てか最近マネージャー全然ここで寝てないな。そして最近玄関鳴りっぱなしだな。
なぜか、入ってきたマネージャーが怪訝な顔をする。おいおい、まさかどこかに昨日の名残が!隠しカメラが!ネットに流出!
恐る恐る仕度をして、でも何も言われる事なくチャンミンと合流した。
「ヒョン、顔赤いです」
「風邪かな!」
やっぱりな!俺も顔赤い自覚あったからな!でもこれは風邪に違いないの!甘い何かじゃないの!そっちとは違うの!
「じゃあ、あんまり近寄らないで下さい」
弟よ!昨日お兄ちゃん大変な目に合ったんだぞ!だから、まだ心臓が可笑しいのも、あんな目にあったからじゃないんだからな!これはラブコメじゃないんだからな!
で、風邪だった。
仕事の合間に病院で薬を貰う。
「ヒョン。一日分下さい」
帰りの移動車の中で、チャンミンが横から手を出す。まあ、多めに貰ってるからいいけどな。パートナーにうつすのもやだし。でもちょっとはお兄ちゃんの心配してね!
車が、先にチャンミンのマンションに到着する。
「お疲れ、チャンミン」
チャンミンがむすっとして答える。
「ヒョン、ビタミンちゃんと取るんですよ?果物を食べて。あと」
素直じゃない弟に苦笑する。
「分かったから。大丈夫、そんなに酷くないよ」
黙り込む弟を送り出す。「本当に大丈夫か?」と心配するマネージャーにも大丈夫だからと告げて、帰宅した。ソファーに寝転がる。一人でも大したことないくらいの症状だから本当に良いんだけど。
「ふう」
問題はあいつだ。俺が風邪だと言うと、必ず来るだろう。なぜなら、風邪引いた恋人の看病は王道パターンだからな。でもそうさせるわけには行かなかった。あの疲弊しきった体で来させたら、うつるのは目に見えてる。携帯電話を取り出す。
「キュヒョン?今日は来るな。じゃあな」
変な理由作るの嫌だし。何か色々言ってたけど、これでいいか。そのまま電源ごと切る。
いや、良くないよな。あいつがこれでいいわけないよな。こんなの絶対来るよな。もう一度かけ直すかと思ったけれど、思った以上に熱は上がっていたのか面倒くさくなって、そのまま寝てしまった。もう来るなら来い。
で、来た。
ブザーの音で目が覚める。はぁ、やっぱりかけ直せば良かったな。時計を見ると、あれから三時間ほど経っていた。遅かったな。気怠い体でドアを開けると、俯いているキュヒョンがいた。
「お疲れ、キュヒョン。悪いんだけど、俺さ」
「ごはん持ってきました」
俯いたまま、呟く。だから話聞けって。心の中でうな垂れる。
食欲ないんだけど、持ってきたもんは仕方ない。後で薬飲ませるか。
「まあ、入れよ。って今日はそれだけ?」
ダイニングに移動するキュヒョンの手元を見る。何だよ、俯いたままで。俺より元気なく見えるぞ。
「……浮気かと思って、何してるかチャンミンに聞きました。チャンミンが風邪だって」
あ、そうなの。ってお前本当に徹底してるな。キュヒョンは俺を見ないまま、食器棚から丼を一つ取り出す。
なんだなんだ?それからテーブルに置いた手提げ袋から弁当箱取り出して、その蓋をそっと開けた。
つづく