「PLAY5」ユノ×チャンミン
少しウトウトしただけで、すぐ目が覚めた気がする。
壁一面の硝子窓のカーテンが半分程開かれていて、窓に沿って取り付けられた腰かけに座っているチャンミンと目があった。
「チャンミン?」
「早く寝て下さい」
外の光が窓に頭をつけたチャンミンの顔を照らしている。
「呑んでるの?」
手に焼酎の小瓶が見える。
「そんなには呑んでないです」
そう言って、窓の外に顔を向けた。
起き上がって、ベッドから出る。少しはだけていたバスローブの前をしめた。
その側に行くのを、分かってるように何も言わず窓の外を眺めている。
向かいに立つと、チャンミンの後ろに上海の夜景が見えた。
「見てヒョン、今日は上まで見えますよ」
と言って、指さしたチャンミンは子供のようだった。一際目立つ上海のテレビ塔を見ている。その手前の大きな川を隔てて、向こうの夜景は現代的で色鮮やかだった。
「本当だ。明日ちょっとは晴れるかな」
紫色のライトアップは消えていたけど、上までくっきり見えていた。
「ゲーム画面みたい」
そう言ってチャンミンが焼酎を口に含んだ。
「あんまり呑むな」
「そんなに呑んでないです」
また窓に頭をつけるのを見下ろして、小さく息を吐く。
「なあ、チャンミン。お前は?彼女は?」
「いないの知ってるでしょ?」
そう言えば、別れたの同じくらいだっけ。
「お前それで呑んでるの?」
焼酎を飲む手を止めて、俺を見上げる。
「ヒョン。その前は俺がいつ別れたか覚えてますか?」
そんなこと言われてもすぐ出てこない。
考えている俺を見て、チャンミンがにやりと笑った。
「ねえ、ヒョン」
と瓶を置いて言いながらチャンミンが立ち上がる。
「なに?」
いきなり見上げる側になった俺を見下ろすチャンミンの顔に、色鮮やかな光が射し込んでいる。
つづく