「This is love comedy.15」ユノ×キュヒョン
「楽しそうで何よりです」
楽屋で、チャンミンが含み笑いで、水の入った紙コップを差し出す。
無言で錠剤をその水と一緒に流し込んで、目の前のテーブルに頬をつけてうな垂れた。
とにかく頭が割れる。
近年まれに見る二日酔いなのもあるけれど、マネージャーに「仲が良いのは結構だけど、もう少し大人しく頼む」と呆れられたのもある。
チャンミンが俺の横に置いてあったリモコンを手に取った。
電源の入る音と共に男二人が遊覧船に乗り込む様子が「意味不明な芸能人」とコメンテーターに茶化された会話が聞こえて来る。
「チャンミン」
テレビが消される。昨晩から度々流れるそのニュースは見飽きた。
チャンミンが肩を震わせている。弟よ。お兄ちゃん意外と大変なんだからな!でもこの件についてはすみませんでした。
うなだれたまま溜息を吐いた。
あいつはこのゴシップを見て、付き合ってる実感を更に湧かせて喜んでいることだろう。まあ、何事もなく……は終わらなかったけれど、意味不明な芸能人で終わっただけマシだ。俺の為のデートだったわけだし。周りは寛容すぎるくらいの対応だし。
あいつが喜ぶなら、良しとしていいか。
でもこの騒ぎじゃ今日は俺と会わずに、大人しくしてるだろうな。
「はあ……」
この溜息は頭が痛くて死にそうだの溜息です、念のため。
待ち伏せたファンと暇な報道陣に手を振りながらマンションに入る。
やっと二日酔いが取れたな。ここ最近騒がし過ぎだ。
玄関に入るとインターホンが鳴っている。ん?記者か?このニュースそこまでか?
モニターを見る。
小さく息を吐いて、開錠ボタンを押した。
ブザーが鳴って、ドアを開ける。最近こいつ俯いてばっかだな。
「入れよ」
俯いたまま玄関に入って、動かない。
「どした?」
「ユノヒョン、ごめんなさい」
なんだ、喜んでるかと思ったら。
「意味不明な芸能人って」
キュヒョンが続けた。同じニュース見たな。
「あんなの数日で消えるだろ。いいよ」
むしろ的確過ぎて何も言えないよ。そして良くあの中通って来たな。
キュヒョンは俯いたまま、顔を上げない。
「何だよ、お前らしくないな。気にするな」
苦笑すると、キュヒョンが顔を上げた。
「意味不明じゃないのに!付き合ってるのにっ!」
お前らしいな!
「……いいから、入れ」
そして、飯を食ってしまおう。
「ユノヒョン!今日は特別自分の大好物にしました!」
キュヒョンが靴を脱ぎながら、得意そうにビニール袋を掲げる。ん?なんだその大きさは?
「早く食べましょう!」
キュヒョンがダイニングに急ぐ。どうやらこの話は終わりらしいな!
もう少し気にしてもいいんだけどな!
つづく