「This is love comedy.17」ユノ×キュヒョン
がーくーやー。
胸やけ凄いんですけど。
「せめてそこは半分じゃないですか?」
チャンミンが紙コップに水を入れてこっちに来た。
「今日も明日も食べなきゃいけないからって」
それであの巨大なデコレーションケーキを全部俺にくれたわけなんですけど。
一応昨日、今朝と二回に分けて食べたけど、胸やけが半端ない。
「チャンミン」
その水下さい。紙コップを持ったまま、テレビに釘付けになっている。でかいビニール袋を持った、きのこ頭の男が俺のマンションに出入りする様子が流れている。「舎弟関係」というタイトルでコメンテーターが熱く語る。
リモコンを手に取って、電源を切る。
「チャンミン」
「いいとこだったのに」
渡された水で錠剤を流し込んだ。
座ったままテーブルに突っ伏すと、チャンミンが隣に立ってテーブルにもたれた。
「キュヒョン店に行きたがったんじゃないですか?」
「いや、特に言わなかったよ」
「ふーん」
横を見ると、チャンミンも持ってきた水を飲んでいた。
「そう言えば、お前の誕生日は何か欲しいものある?」
「その前にヒョンでしょ」
「俺は良いよ」
少し薬が効いて来たのか、笑う余裕が出てきた。
「じゃあ、今年も二人でなしにしましょう」
「いいね。賛成」
だから何でテレビつけんの?って。
夜になりました。
「ユノヒョン!」
「お疲れ、邪魔して悪いな」
Tシャツにスウェットのキュヒョンが稽古場に使っているホールの入口まで駆けて来た。搬入車に合わせて、俺も今日は自分の車で運転してきている。役者とスタッフとその日の人数分より大分多めに注文した料理を運び込む。
「練習してていいから、空いた時間に食べたらいいよ」
「今日のこと伝えていたので、みんな休憩に入りました!」
「そうか」
それは恐いな。微笑みながら、その肩を撫でようとして、空中で止める。この、恋人アピールなのに友達よりも触ってはいけない感!まあ逆よりましか。下げた俺の手を見ながらキュヒョンが言いにくそうに口を開く。
「あの、ユノヒョン」
キュヒョンの後ろから、スタッフやら役者やらが廊下に運び込まれた料理に歓声をあげた。
「ユノさん、テレビいつも見てます!これすごいですね!」
握手をしたり、写メを撮られながら、一通りお礼を言われて、キュヒョンを見ると、
ぼんやりと俺の手を見ていた。
「キュヒョン?どした?」
俺の手が怖くなっちゃったのか?
それよりテレビってワイドショーだな!
「あ、キュヒョン。手伝わせて悪いんだけど、みんなの分一緒に運んでくれる?これ一応フルコースでさ」
「あ……はい」
つづく