夢の続き

東方神起、SUPERJUNIOR、EXO、SHINeeなどのBL。
カテゴリーで読むと楽です。只今不思議期。

「Kiss me,baby.15」ユノ×チャンミン

思わず、口全体を片手で覆った瞬間に、


玄関のブザーが鳴った。


うるさい心臓を抑えつけるように、無言でクローゼットを開けて目に入ったもので着替える。


デスクの上にある昨日取り出したリュックの中身を、そこら辺のバッグにそのまま詰めて、鍵を開けた。



マネージャーが立っていた。


「遅かったな。行けるか?」


俺の表情は多分呆然としている。


でも、「はい」と、返事をした。


特に気にされなかった。


……リュックは別に同じ物を買えばいい、見つからなかったら。


いや、買わなくったっていい。


「忘れ物ないか?」


正面を向いたまま、前を歩いていつものように聞かれた。


何も言わない俺に振り返る。


俺は躊躇いながらも、


この時もまた、同じ返事をしてそのまま車に乗った。


久しぶりに使った肩掛けのバッグを膝に置いて、前かがみでそれに両肘をつけたまま、目の前を見つめる。



リュックも、細々とした他のものも、それはいいんだ。



ユノの腕時計――あれは。



短く息を吐いて、携帯電話をバッグから取り出す。


もう一度、店のホームページを開いた。


昨日の面子に送ったメッセージの返信は、ほぼ全員が「分からないけど、店かも」で、途絶えている。


営業は始まっていたけれど、やっぱりかけても繋がらなかった。


地図が載っている。でも見なくても、何回か行った場所だから知っている。


俺の隣の風景も見なくても分かる。



ここから、近い。



どっかで、落としたんだとすれば、多分もう見つからないだろう。


もし、店で忘れたのなら、


今、行けば、


あるかも。


携帯電話の時刻を見つめる。


もし、俺が、


ここで寄り道したら?


首を振る。


そんなことしていいわけない。


でも余裕を持った集合時間だろ。


携帯電話を握りしめて、穴が開くほど画面の時刻を見つめる。



あんな、したのか分からないようなキスをされるより、



集合時刻に遅れることの方が問題だ。



あんな変なキスなら……



無意識に指先でさわっていた自分の唇に、せまってくる唇が、目の奥で囁いている。





『お前も男だろ?諦めろよ』





俺が今諦めるのは……










つづく

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