「Kiss me,baby.20」ユノ×チャンミン
移動車の中で、俺は目を見開いていた。
「お……お……」
「どしたチャンミン?」
マネージャーが呑気に聞いてきた。
『連絡おくれてすいません!今中国にいます!ヽ(^o^)丿明日収録同じですよね?リュック、私預かってるので持って行きます☆飲み過ぎはダメですよ!それよりユノさんに彼女は本当にいないんですか?ヽ(^o^)丿』
俺は携帯電話の画面を見つめて、わなわなと震えていた。
「こ」
「こ?」
マネージャーが復唱した。
「……この顔文字何だよ」
俺は、昨日一緒に飲んでいた後輩からのメッセージを前に、腹が立つやら、自己嫌悪に陥るやら、様々な感情が駆け巡る中、
けれど、ひたすら安堵した。
脱力しながら、その返信もせずに、移動車を降りてしまったユノに、なんとなく報告しようかどうしようか画面を操作する。
自分達は普段毎日のように会っているし、大体電話で連絡するような用件が多いから、
他の友人達と違って殆どメッセージでやり取りすることはない。久し振りにユノの名前を、押したような気がした。
ユノとのやり取りが映し出される。
「あ……」
また、俺は声を上げて、動きを止めた。画面を見つめた。
一番最近のものでも三か月前で、どれも全て短い。
でもそれらのメッセージの上に、比較的長くやり取りをしたような会話の最後が見えて、
スクロールしていったら、あった。
ユノの言っていた、恐らく一年前の自分達が……いた。
それを眺めながら、
別にそれが原因ではなかったけれど、普段連絡を取り合わないユノに、
特に今日の事があった後で、こんな報告をするのは、
「で、どう言うんだよ」
「なに?どしたチャンミン」
――出来なかった。
つづく
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内容は変わっておりませんが文章の大幅改変を施しました。失礼致しました。