「PLAY8」ユノ×チャンミン
空港までの移動車の中でチャンミンが窓の外を見ている。
雨でも曇りでもないけれど晴れない空が拡がっている。
今朝からずっといつも通りだけれど、窓の外を見るチャンミンはあの夜景を見ていた時の様子を思わせた。
「チャンミン眠くないの?」
俺はさっきから何度も寝かかっては、座席の具合で起きてしまう。
「まだ大丈夫です。若いから」
外の景色を見ながら返事がされた。
そう言えば、おじさんって言われたな。
「俺も若いよ」
少し沈黙が流れて、チャンミンが答える。
「そうですね」
「何で今間があいたの?」
「ヒョン寝ないんですか?」
「なんか寝れなくて。若いからかな」
「まあ基準は人それぞれだから」
ぐしゃぐしゃとその茶色の髪を掻き回すと、チャンミンが「やめろやめろ」と言いながら笑って手を払いのけた。
上海から日本に移動だった。
機内では寝ていた。途中途中で起きて隣を見ると、チャンミンはずっと眠っていた。俺より睡眠時間は少なかったんだから当たり前だろう。
あどけない寝顔を見ると、作ったような笑顔をしていたチャンミンが別人みたいだった。
もう眠気もなくなって来て、機体が着陸態勢に入るころ、チャンミンが目を覚ました。
そして俺と目が合う。
「そろそろ着くよ」
と言って俺は口角を上げる。
チャンミンはまだ寝ぼけているのか俺に驚いた顔をした。
驚いてるのが可笑しくて、その顔を見ているとやっと頭が動いてきたのか、気まずそうに姿勢を直す。
そのチャンミンは、あの夜景を見ていた時のチャンミンだと、作ったような笑顔をしていたチャンミンだと、俺はまだ気づかない。
まるで駒でも進めるように機体は日本の上空を滑り込んで行く。
つづく