「チャンミンくんの恋人4」ユノ×チャンミン
「トイレから部屋に戻る途中で、いきなり体が歩くごとに小さくなって行って、
わけわかんなくてさ、歩くの止めればいいのか?って思ったけどそうじゃなくて、
どんどん小さくなって、最終的にこうなった」
俺も手を貸して、なんとか手足のついたハンカチでラッピングされたプレゼントのようになったユノが、ティッシュの絨毯で自分の膝を見ながら、体操座りをして言った。
「まあ、消えてしまわなくて良かったですね」
俺は自分の膝に肱をついた片手で頬杖をついて見る。
ダニかノミくらいになってしまっていたら、恐らくユノは俺に踏まれるか掃除でいなくなってる。
「あと、こっちの宿舎で良かったですよ。俺がいたから」
一人だったら、発見が遅れてたし、色々と面倒くさかっただろう。
ユノは多分、自分であまり気落ちしないようにしてるんだろう、体操座りをしながら体を揺らして、唇を突き出して、おどけたようにしている。
「ヒョン。寒くない?」
「大丈夫」
ユノは体を前後に揺らしている。
「ねえ、チャンミン」
「はい」
「俺、もう小さくなってない?」
ぽつりと呟いたユノの声は、更に小さくて聞き取りづらい。
「……今のところは」
サイズダウンした二人だけのアイドルグループの、年上である「兄」を眺める。
「ねえ、チャンミン」
「はい」
「家族に連絡してくれる?」
声が出にくくなるような締め付け感で、返事が遅れた。
「これ以上小さくなって、もう連絡できなくなったら困るからさ」
何も言わずに自分の横に手を伸ばした俺にユノも何も言わない。
俺の隣には、マネージャーに連絡したばかりの携帯電話がベッドに置いてある。
時刻を気にしながら、ユノの実家にかけた。
スピーカー設定にする。
ユノはじっと俺を見上げている。
「もしもし?夜分遅くすいません、チャンミンです。ユノさんが今緊急事態で、
はい、恐らく……奇病にかかってしまいまして、あ、はい……そうです、
電話がかけられなくなってしまって、
俺から連絡をしました」
つづく