「夢の続き12」ユノ×チャンミン
ダウンジャケットにすれば良かった。
もう完全に冬って感じだ。
まだ吐く息は白くないけど。
……しかし、予想外だったな。
外に出たらユノは、
「見て!チャンミン!家だよ!道路だよ!おじいさんがいるよ!」
とかファンタジックな事を言って俺を苦しめるのかと思ってたけど、違った。
ユノは普通に住宅街を歩いている。
――でもなぜかそれが、俺には全く普通じゃない。
外を歩いてるとさ、人って他人の顔をよく見てると思う。すれ違いざまとか。
特に男はそうだ。
やっぱり可愛い女の子とか目がいっちゃうし。俺も見る。
ちなみに短いスカートとかも見る。
でもそうやって見てる時、案外自分の姿って忘れてるんだよね。
見ている自分はばっちりそこに存在してるんだけど、まるで空気にでもなったような気がしてるんだよ。
でも、見られてる側は、見ているアナタの事結構わかってますよ。
って俺はこの人に言いたい。
「あの、すいません」
「なにチャンミン?」
「俺の顔ばっか見てないで前向いて歩いたらどうですか?」
前を向いて歩きながら、隣の人間に言う。
「え!」
と言ってユノは俺が気付いていないと思ったのか、驚いた顔をした。
それに驚くよ。
大体、チラ見のレベル超えてるんだよ!通行人が見たら、首が元からこっちに曲がってる人と間違われるレベルだよ!
「あの、ユノさん。前からちょっと疑問に」
「あっ!!」
とユノが声をあげて立ち止まって、俺もそれに続いて立ち止まった。
「へえ」
と言って、ユノが感動したように眺めている。
目的地のコンビニだった。
只今20時50分(ユノの退役まで505日)