「ステージ裏(typeB)」ユノ×チャンミンの短編
*「ステージ裏」のお二人とは別です。
俺は腹を押さえていた。
本番十分前なのに、どうやら今ものすごくお腹が痛い。
でも治まりそうな予感もある。
「ヒョン」
ユノはさっきまで収録していた映像の撮影で使っていたシャボン玉で遊んでいる。
「ヒョン。聞いて下さい」
ユノが俺を見た。
「見てチャンミン!すごい大きいの作れた」
「良かったですね。ちょっと後ろのバッグ取ってくれませんか?」
きょとんとしたユノがバッグを持ってくる。
薬を取り出して水と一緒に飲んだ。
「チャンミン。もしかして腹痛いのか?」
俺は顔をしかめながら頷いた。
「トイレ行った方が良くないか?」
「……」
「なあ、チャンミン!大丈夫か!」
「大丈夫なんで、ちょっと黙ってて下さい」
ユノがシャボン玉を吹いた。
「やっぱりなんか喋ってください。ちょっとむかつく」
持っていたものを置いて、ユノが手を伸ばした。
同じような露出度の高い黒い衣装を着ている。
ユノの手が俺の腹にあてられる。
「どう?」
「あまり意味はない感じです」
少し腹を摘ままれた。
「痩せてるね?」
ユノが俺を見た。
「不快なんでやめてもらえませんか?」
「何でそんな言い方するんだよ!」
「こっちはお腹痛いって言ってんだよっ!」
「チャンミンは言い方がきついんだよっ!」
「腹痛い時にそんなの構ってらんねーよ!」
「もう、トイレ行けよっ!」
「時間ないだろっ!」
口を尖らせたユノが、ぽつりと呟いた。
「ディレクターに言ってくるから」
「いいです、もう治るからっ!」
それでも言いに行った俺達の出番は、大分後になった。
薬も効いて腹痛はすぐに治まって、
ユノと一緒にシャボン玉で遊んだ。
こんな俺達のステージ裏。
『ステージ裏(type B)』おしまい