「夢の続き13」ユノ×チャンミン
「ここですよ」
と言った俺に、
「うん」
と、ユノがまるでこの場所が目的地で当然のような返事をしたのは引っかかったけれど、
でもそれも今深くは考えられないくらい、
俺にはこの人間と同じに自分を思い悩ませている、
俺のバイト先のコンビニだった。
「あ、チャンミン君」
「店長、こんばんは」
「あれ?お友達?」
「いえ、違います」
俺の即答を聞いて、顎に手を置いたユノに、「店の中見ててください」と言って行かせた。
最近老眼が入ってきたという目をぱちくりさせて店長が俺達を見てる。
このコンビニは店長夫婦が営んでて、日本だと珍しい個人経営だ。
食材は安いスーパーで買ってしまうけど、コンビニに行くなら自分の働くここに行くようにしてる。
留学生の俺にも優しくて、日本で友達の少ない自分にとっては、気楽に誰かと話せる数少ない場所の一つだけど……。
でも俺は、そろそろ本当に学校が忙しくなってきて、というか専念したくて、週三日のこのバイトを辞めるべきか悩んでた。
「あの、店長。来週のシフトなんですけど、水曜日遅くまで学校に残らないといけなくて、別の曜日に変更してもらえませんか?」
「あ、そうなんだ。うん、いいよ。休みにしておくから、来れる曜日ができたらでいいよ」
と、微笑んで頷かれる。俺の状況を分かってくれて、何でも希望を聞いてくれる。
でも自分が迷惑をかけてることは良く分かってた。
どうにかしないとダメだ。
「大丈夫だから、見てきなよ」と言われて、躊躇いながらも店内を見る。
でも、とりあえずユノだ。
良かった。普通に食べ物を手に取って見てる。
「ねえ!チャンミン!これ何に使うの!」とか言ってお母さんが言葉に詰まらせるようなものを見せてきては俺を困らせたりするのかと思った。
でも手に取って見てるというよりは、掴んで遊んでる感じもするけど。
商品で遊ぶのはやめましょう。
「ユノさん。食べたいもの選んでください」
「え!」
と声をあげて、なぜかユノはおろおろし出した。
そんなユノは置いといて、
俺は「からあげ弁当」と「ダブルハンバーグ弁当」で迷う。
もうクリスマスの商品が並んでる。
定番メニューは大体食べてるから、そーゆー新商品でもいいか。
「照り焼きチキン弁当」も候補に入れよう。
「決まりましたか?」
と横を見ると、
「え」
と、醤油の一升瓶を手に持ってるユノを見て、また俺は食べるものをどれにするか悩む。
やっぱり、からあげ?いや、ダブルハンバーグいっとく?
「チャンミンっ!」
「なんですか?」
呼ばれたので横を向く。
「決まったよ!」
只今21時04分(ユノの退役まで504日)