夢の続き

東方神起、SUPERJUNIOR、EXO、SHINeeなどのBL。
カテゴリーで読むと楽です。只今不思議期。

「麒麟11」キリン×リョウク

岩の上に、僕は横になった。


もう一歩も歩けない気がした。


体中がべたべたする。でも別に誰に見られているわけでもない。


それはどうでも良かった。


それよりも。



「歯磨きたいな」



キリンが僕を見下ろす。


「磨きたい?」


「うん」


「分かった」


僕は目を丸くした。


「え、できるの?」


キリンが辺りを見廻した。


「待ってて。サソリに気を付けて」


「う、うん」


僕は起き上がって、キリンがまた森に入って行く後ろ姿を眺めた。
それから大きな月を。


あ、寒い。


葉っぱを巻いているだけでは全然夜は過ごせない。
僕はぎゅっと体を縮こめた。


月明かりと、目が慣れてきて、遠くの方まで見渡せた。


こんなところで独りぼっちだったら寂しいだろうな、と思った。
ふと、
何か思い出せそうな気がして、首をひねる。
でも考えても、それは出てこなかった。
多分、すごく些細な記憶なんだろう。


それに……ここでキリンはずっと独りぼっちだったんだ。


ほどなくして、森から背の高い顔が出てきた。
こちらに小走りで向かって来る。
僕はほっとして、笑顔になった。



「これ」



一本の細い枝を咥えて渡された。
眉をひそめて手に取って見る。
首を傾げた。



「これ?」



「それ」



え、こんな普通の枝で何をするの?
僕はキリンを見上げて、ぽかんと口を開ける。


「周りの皮をかじり取ってみて」


また持っている枝に目をやる。



これを……かじる……。



お腹痛くなりそう。


でも僕は、言われた通りにした。



「渋い……」



「頑張って」



僕は今日一日で色んな味を体験した。
かじった皮を口から出しながら続ける。これが歯磨きになってるのかな。



「あっ」



皮をぐるりとかじり取ると、中からブラシのように詰まった、細かい木の繊維が出てきた。
僕はキリンを見上げる。
優しい顔で見下ろされて、僕はまた口を半開きにしていた。
水がない歯磨きは初めてだったけれど、そのブラシで僕は歯を磨いた。
繊維は思ったよりも柔らかくて、痛くもなくて、さっぱりした。


「ありがとう」


「うん」


「じゃあ寝よう」


僕は横になった。
キリンが僕の体を巻く。



「僕は寝なくて大丈夫だから」



また口を開けそうになった。
何でその顔を、優しいと思ったのか分からない。
でも僕はこのキリンの表情を、少しずつ理解してきている。
僕たちの上には少しだけ欠けた月が浮かんでいる。
銀色の光に照らされて、苦いスイカに囲まれて、こんな場所があったなんて僕は今まで知らなかった。


「ねえ、キリン」


正面の優しい顔に言った。
身体が温かくなって、
もう寝言みたいになっている。



「僕ね、リョウクって言うんだ」



「リョウク?」



「僕の名前だから、呼んで。キリンにも名前がある?」



黒い星空が見つめている。



「僕の名前は、キリン」



僕は微笑んだ。



お休みなさい、リョウク。



その声を聞きながら、


眠りに落ちた。








つづく

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