「夢の続き14」ユノ×チャンミン
さっきまで挙動不審だったと思えないくらい、ユノが堂々と差し出してきた、
「苺のショートケーキ」
を見て、俺は動きを止めた。
「あ……うん。いいんじゃないですか?」
「チャンミン今何か考えなかった?」
「あ、いや、この手の人ってこういう感じなんだと思って。うん、いいと思います」
「え、チャンミン。それどういう」
「ちなみに何でこれを?」
顔を上げて、ユノを見ると、聞かれると思わなかったのか、みるみるユノの顔が赤くなってくる。
なんだなんだ?
「えっと……その」
真っ赤な顔のユノを見ながら俺は眉間に皺を寄せる。
「お、お祝い」
お祝い?
「何のお祝いですか?」
まさか……『君と僕が出会えた奇跡に乾杯』的なこと言い出すんじゃないだろうな。
ユノがもじもじしながら言う。
「えっとっ、チャンミンと俺が出会っ……あれ?チャンミン?もう会計行くの?」
「照り焼きチキン弁当」と「苺のショートケーキ」の会計をしていると、店長が俺に言ってきた。
「あ、そうだ。チャンミン君、来週のシフトなんだけど、木曜日新商品の集荷が多くて、もし入れたら入ってもらえると助かるよ」
「すいません……来週の木曜日も実習で遅くて」
「あ、そうか。そうだそうだ」
眼鏡をちょっとあげながら、忘れてたことを恥ずかしそうに笑う店長に、俺はまた申し訳なくなる。
店長がおでんの蓋をあけておたまを持った。
「チャンミン君、おでんの卵と大根も二つ入れてあげるよ」
「あの、俺が入りますよ」
「え、おでんに?」
と店長がユノに顔を上げた。
俺はいきなり口を挟んだユノの日本語が上手かったことに驚いてた。
「俺がチャンミンの代わりに木曜日働きます」
目を見開いて隣にいるユノを見る。店長はおたまを持ったまま静止している。
ユノが俺に向いて照れたように笑った。
「ほら、あなたとコンビにファミリーマートって言うし」
それは、店が違うと、思いながら、俺はユノが何を言い出したんだと、唖然と見ている。
そんな俺の顔を少し首を傾げながらじっと見た後、ふと笑って、
ユノが俺の口にキスをした。
只今21時25分(ユノの退役まで503日)