「DOKI☆DOKI☆らぶ♡5~ガラスの靴をはいた番長~」シウォン ユノ チャンミン キュヒョン ミノ
~~~~前回までのあらすじ~~~~
男子校に通っているシウォンはなんと女の子!「殺しのバンビ」ことシム・チャンミンを探しに番長がやってきたっ!!「稲妻シンデレラ」が向かうチャンミンの後ろの席はシウォンだけれど!?☆大好きなユノ先生と学園のアイドルで友人のミノ、ライバルで学級委員のキュヒョンも交えたシウォンのDOKI☆DOKI☆学園生活はどうなるのっ!?☆
「お前がシム・チャンミンか?」
番長が俺の前に立って覗き込んだ。
「なっ、なっ、なっ」
なんでっあんな乱暴男と間違われなきゃなんないのっ!
ああんっ、でもコワくて否定できないヨっ!どうすればいいのっ!番長なんだモンっ!
その時っ☆☆
「こいつは違いますよ、先輩」
びっくりして隣を見る。ミノが爽やかに笑って、俺の前に片手を出している。
ど、どうしてっ?ミノ、こんなのに冷静に話せるのっ!?
「ふーん。度胸あんな、お前。って、良く見たらここのアイドルじゃん」
「はい」
ミノは笑顔で応えた。
「ふーん、まあいいや。じゃあお前はシム・チャンミンじゃねーんだ?」
前髪をかき上げながら、俺の顔を覗き込む。
この人、キュヒョンみたいに肌白い。目、猫みたい。一層俺の顔を覗き込まれて、またその口が開いた。
「じゃあ、お前は誰なワケ?」
「それ関係ねえだろ」
俺と番長とミノも一斉に声の方向に向く。
起き上がって、だるそうにアイツが首を回した。
それから、あくびをしながらこっちを見て、怪訝な目をした。
「随分、べっぴんさんだな」
「お前が殺しのバンビか?」
「勝手に人をバンビなんて呼んでんじゃねーよ」
番長が姿勢を戻して、自分の顎に一指し指をあてる。
「ふーん。まあいいや。あとで、どっちが強いかやろうぜ」
「興味ねえな」
後ろ髪をアイツがかいている。
「じゃあ、そっちは置いとこう」
稲妻シンデレラがにっこり笑った。
するとっ☆☆
いきなり俺の顎をくいっと持ち上げて、番長が言った。
「お前、本当に男か?」
俺の顔を覗き込む。
え?え?
そっ、そんなこと言われたのはじめてっ!
でもっ、そうだよネっ!
いつかはこんなのばれちゃうんじゃないかなって!二年間ずっと思ってたっ!
シウォンずっと思ってたけど、言われたのは今が初めてだヨっ!!
教室が静まり返った中で、番長が俺の顎を持ち上げたまま続ける。
「男にしてはその顔、可愛すぎなんだよ」
キュウウウウン♡
「お、おい……お前」
割って入ったシム・チャンミンを見る。
「なんだ?」
番長は俺の顎を持ったまま聞いた。
「目え大丈夫か?」
なに口ぽかんと開けてんのっ!このバンビ男っ!
「どういう意味だよ」
そ、そうだヨっ!どういう意味っ!
「いや、どっからどう見ても男、ってゆーかお前の方がよっぽど」
「ははん」
稲妻シンデレラが俺の顎をくいっとバンビ男に向けた。
「お前、こいつに惚れてんな?」
「いやいやいやいや」
何でクラスのみんなが同じこと呟くのっ!おかしいんだからっ!
「ばっ!ばっかじゃねーのっ!」
シム・チャンミンが口を尖らせる。
「顔赤いぞお前」
「じゃあ元から俺は赤いやつなんだよっ!!」
そっぽを向いたシム・チャンミンをクラス中が見てた。
「そんなヤツいんのか。じゃあ、俺、この可愛い子ちゃんとキスしていい?」
また顎を番長に向けられる。
なっ、なっ、なっ!
もうダメっ、泡噴きそうなんだから。
「それはダメです」
俺は目だけミノに向けた。
「勘弁してください。俺の友達なんで」
ミノがにこっと笑った。
「じゃあお前が俺とどっちが強いか、やんのか?」
今度は正面の番長に目を向ける。にっこりと微笑むと、おっ女の人みたいっ!
「お前がやんないならキスだぞ」
ひえええっ!!猫みたいな目が俺を見た。
「じゃあやります」
ミノが笑って立ち上がった。
その時っ☆☆
「そんなへなちょこヤロー相手にしても仕方ねえだろ」
目だけ、声の主に向ける。
まただるそうに首を回して、
シム・チャンミンが立ち上がる。
顎を掴まれた手が離れて、俺は、はあっと呼吸をした。死ぬかと思ったんだからっ。
「そいつはぜんっぜん可愛くねえけど、俺が相手になってやるよ、べっぴんさん」
「惚れた男が女みたいに可愛いと大変だな。いいぜ。まとめてかかってこいよ」
「だっ、だからっ!惚れてねえって言ってんだろっ!!こんなの誰が見ても男なんだよっお前目え大丈夫かっ!」
殺しのバンビが顔を真っ赤にしてしどろもどろになっている。
クラス中が白い目で見た。
「じゃあ、お前の目が節穴なんだな。俺には女にしか見えない」
稲妻シンデレラが顎に人指し指を置いた。
「俺は、二年こいつと一緒にいましたけど、確信できますよ。こいつは男です」
ミノが学ランの襟を開けながら、にこっと笑った。
ふっ、FU・KU・ZA・TSU!シウォン全部複雑っ!!
「ごたくはいいから、こいよ」
猫の目がぎらっと光った。
シム・チャンミンとミノが同時にとびかかる。
ダメっ!こんなのっ!
「やっ、やめてっ!!みんな俺のためにっ!!」
両手を口元に置いて俺も立ち上がったけど、誰も聞いていないっ。
「そこまでだ」
教室のドアを学級日誌でばんばんと叩きながら、入って来た、
ユノ先生の後ろには、息を切らせたキュヒョンがいる。
「お前らなあ、飯も食わずに喧嘩か?どれだけ元気なんだよ」
「俺はさっきの授業中に食ったから、一番元気だぜっ!」
殺しのバンビが番長の襟元をつかむ。
その頭をユノ先生が日誌ではたいた。
「喧嘩はやめろって。しかも何でわざわざこんな時間に、こんな狭いとこでやるんだよ。いや、とにかく問題起こすのはやめろ」
ユノ先生が日誌を持ったまま腰に手を置いた。ユノ先生っ!あなたが好きっ!
「一理ある」
稲妻シンデレラが笑った。
「じゃあ、文化祭のあとに持ち越しだ」
「は?何だよそれ?」
シム・チャンミンが番長に眉を寄せた。
「俺はもうそこまで時間がないんだよ」
「何だよ、文化祭って」
「お前らまだ決めてねえのかよ」
「きょ、今日何するか決めますっ」
ユノ先生の後ろでキュヒョンが真っ赤な顔で叫んだ。
「じゃっ。文化祭終わった後、あの河川敷に集合な」
「どこだよ河川敷って」
「俺が教えてやる」
ミノが外した襟元を合わせながら言う。
「お、お前ら何で堂々と喧嘩の集合場所を俺の前で決めてんだ」
ユノ先生が唖然とした。ユノ先生っ!あなたが好きっ!
「じゃ、そーゆーことで」
番長が片手を上げて教室の後ろから出て行く。ドアをがらりと開けて、そこで振り返った。
「あと、俺の名前はべっぴんさんじゃなくてキム・ヒチョル。覚えとけ」
そう言って、パシッとそれを閉めて、出て行った。
☆つづく☆