「Let’s go to the 遊園地!1」ドンへ×ウニョク
「なあ、あれ観覧車だと思う?」
ヒョクチェが言った。
初めての二人だけのツアーで、日本に来ていた。
地方都市のホテルで部屋は別々だったけど、今日の打ち上げが終わって、まだ寝る前に時間があったから、俺の部屋で喋っていた。
テレビをつけてもこんなに早い日本語なんてまだまだ聞き取れるわけないし、それでも大分上手くなったしつけてみたけど、疲れた耳を休ませたくなって、やっぱり消したら、ソファーに座って窓の外を眺めていたヒョクチェが言った。
「ああ、そうじゃない?」
俺は別に見なくても、窓から見えてたのは知ってたし、ベッドの前でリモコンを触りながら答えた。
「明日行ってみない?」
「え?」
思わずそちらに振り返る。
「行こうよ、楽しそうじゃん」
「うん、そうだな」
返事をしながら、俺は胸が高鳴った。
「マネージャーに話すからさ、俺」
「あ、あのさ」
小さなテーブルを挟んだ向かいのソファーに俺は足早に腰掛けに行く。
「なに?」
ヒョクチェがソファーに移動した俺を目で追うと、色が抜けて殆ど白に近くなった髪が揺れた。
「行くのは、二人だけで行かない?」
「は、二人?」
その眉が不思議そうに上がった。
「うん。ちょっと冒険みたいな?」
「大丈夫かな、日本語」
ヒョクチェが窓の外を見る。
「そんなに喋る必要ないし!この距離なら歩いても行けそうじゃん!」
「んー……まあ。いいけど」
きた。
これきた。
少し不安そうに窓の外を眺めているヒョクチェを見る。
最近二人だけで外出なんて出来なかったし、遊園地なんてデートじゃん!
ヒョクチェとデート!
でも、そう思ってるのは俺だけなんだけど!!
俺の片想いデート!!
つづく
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逃避行をつぶやきではなく、話しに変えてみました。