「PLAY10」ユノ×チャンミン
「なあ、チャンミン」
「なんですか?」
いよいよ、人がいなくなってきて、舞台の照明も落とされ始める。
「俺達変わらないな」
パーカーのフードをかぶったその表情は分からないけれど、少し間が空いて、
「そうですね」
と小さく鼻で笑われた。
それにつられるように、からかいたくなって言う。
「あ、でも最近チャンミンちょっと変わったな」
反応はなくて、その事に俺はあの夜のチャンミンを思い出したけど、それを持ち出すつもりはないし、引っ掛けるつもりでもなかったから、すぐに続けた。
「携帯のゲームあんまりしなくなった」
やっぱり俺の答えは予想と違ったのか、今度は即返事がされる。
「ああ、そうですね」
「なんでしなくなったの?」
「そこ気になりますか?お腹減ったんで行きましょうよ」
「はいはい」
と言って俺が立ち上がったのに合わせてチャンミンも立ち上がる。
階段を二、三歩上がったところで前を歩くチャンミンが言った。
「あれ難しいんですよ」
チャンミンなら俺の他愛ない質問も一応放っておかないと思っていたから、違和感もなく、続けられそうな語尾を聞いて、相槌も打たずに後ろを歩いた。
「ゲームオーバーになるのが嫌だから」
まだ語尾は続けられるみたいだった。
「諦めたんです」
と、続けられた口調も台詞も不自然で、俺は違う意味での違和感を覚えているのに、それを言葉に出来ない。チャンミンは全く歩調を変えずに、階段を上がっていく。
俺は引っ掛けるつもりはなかったのに、
分かりながら引っ掛かった振りをして、
それに俺が何も言えないと、見越されていたような感じだった。
つづく