夢の続き

東方神起、SUPERJUNIOR、EXO、SHINeeなどのBL。
カテゴリーで読むと楽です。只今不思議期。

「チャンミンくんの恋人25」ユノ×チャンミン


けれど、ユノは寂しそうに見つめてきた。


全部払い終わっても、自分の手を、その体の隣に置いた。



「何でそんな顔するの?」



何も言わない。


こうなってから、口を尖らせているユノを良く見るなと思った。


立ち上がってデスクチェアーに腰をかけた。


体は近づいたけど、ユノは更に俺の顔を見上げただけだ。



「ユノ」



親指で残った涙を拭ってやっても、少し瞬きするだけ、


表情を変えず腰掛けたまま俺を見上げている。



「だって……ずっとは、いないだろ」



言われて思わず、目をそらせた。


でもまた見る。


これに応えるしかきっと、悲しませない方法はないのだろう。



「ずっといるでしょ」



俺の心の中まで覗こうとするようにユノは目をそらさない。



「……仕事は?」



「一緒に活動できる仕事にするから。でも俺単独の時はこうやって待っててもらいますけど」



濡れた目に寂しさが薄れる。拭っていた手を離した。



でも、そのまま、またユノの隣に置いた。



「チャンミンが友達と遊ぶ時は?」



「ユノも一緒に遊びますよ」



「スノボする時は?」



「檻の中で待ってて」



見上げているユノがちょっと笑った。



俺も少し表情がゆるむ。



「でも、宿までは一緒に行きます。友達宿に置いて行きますから」



「友達可哀想じゃん」



ユノがまた笑った。さっきよりも笑った。



「交代です」



俺も微笑んだ。


「俺と遊んでくれるかな?」


「喜びますよ」


それから、俺を見つめて黙った。


口の端に力が入れらている。


俺も微笑んだまま見下ろしていた、


けど、笑っていたのに、その目からは涙が溢れ出した。


俺は眉を寄せる。


ぼろぼろと零れて行く涙を見て、拭うこともできずそれを凝視した。



「でも、チャンミンに彼女ができたらやっぱり俺は一人だな」



ユノは笑いながら泣いた。



ユノだって、その姿でも彼女はできると思う、同じサイズの人もいるでしょ、と言ったらそれを認めることになるから、俺は言葉が出ずにただユノの泣き顔を見下ろす。



「チャンミンが結婚したら、俺はもっと一人だ」



もう理性が利かないらしくて、思った事を何でも言っている。



意外と我儘だったんだな、と思った。



「この仕事で結婚なんて何年先になるか」



「でも彼女はできるだろ?」



笑顔で泣くユノは子供のようで、やっぱり大人だ。



徹底した答えじゃないと許されないんだと悟った。



「できないです」



「できるよっ!」



笑顔も涙も止めにして、責めた目で見られる。



そんなユノを見つめる。



「作らないから」



そう俺に言わせた自分自身を、恨んだような顔をした。



唇を曲げて震わせる。



また泣く。



「泣かないでよ、ユノ」



自分と同じ髪型を指で撫でた。



「俺がチャンミンの友達と恋人と家族になる」



「欲深いですね」



本当に。



ユノは今まで随分我慢してきたんだな。



「ダメなの?」



怒られると分かった子供みたいな顔をしている。やっぱり子供なんだろうか。


そんなことできないとユノは分かっている。


分かってても尚、その答えが欲しいらしい。


他人の俺に言わせたいらしい。


自分達の関係は稀に見る奇妙さだな。


でも、俺は生半可に答えたわけではないし、でも、それがとても難しい事は分かる。


けれど何日か前、言えなかった言葉を今答えた時点で、この小さなユノが、安心して笑顔を取り戻すことが今の自分の最重要課題なんだから。




「そんなの、聞かなくても分かるでしょ?」




と、微笑んで見せた。


内心は狼狽えたけれど。



ユノは無理矢理言わせた自分自身を分かっているような、寂しそうな顔をする。


でも段々、悪戯っぽく明るく表情が変わった。


自分に言い聞かせて、思いこむことで楽しみ方を見出したのかもしれない。



「恋人もだぞ?」



子どもの言い方をする。やっぱり子供か。



「はいはい」



ユノが笑顔になった。



「絶対無理だし」



何がツボに入ったのか、ユノが声を出して笑った。



「まあ、やるだけやってみますよ」



覗き込んでいる俺を、笑顔で見上げた。


自分の隣にある俺の手に向いて、指を持った。


それに頬ずりした。


楽しそうに頬ずりしながら見上げる。


俺も笑みを浮かべたまま、合わせるように撫でた。


自分はユノを、人間だと思っているのに、人間だと思っていないのかもしれない。


はじめてこのユノを、手のかかる生き物だと思った。


まだ頬ずりしている。髭もあたってちくちくする。



ゆっくり顔を近づけた。



その茶色い頭に唇をあてた。



離すと、目の前でぎょっとした顔をしていた。



「食われるかと思ったー」



そう言ってまた声を出して笑った。


俺も鼻で軽く笑いながら、上体を起こした。



すると、笑い終えたユノが、両手を伸ばす。


手を揺らすから、また顔を近づけた。


目の前に来ても、全身が見えた。



立ち上がって、ブロックでできた壁を乗り越えてくる。



更に近づく。



そして労わる様な、俺の勤労をねぎらう様な目で見上げて、



満足そうに微笑んで、まるで褒美でもとらせたみたいに、




俺の唇に小さな口をあてた。














つづく


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