「チャンミンくんの恋人44」ユノ×チャンミン
寝ていた俺の様子を見ていたけれど、小さかった時と同じなのはそれだけだ。
ほんのわずかに口の端を上げた落ち着いた顔と見つめ合った。
「……戻ったんですか?」
「うん」
と言って、小さく苦笑のような笑みを一つこぼして、俺の足元の辺りで腰掛けたまま見つめられる。
見れば分かることを聞く俺は、自分で思うよりずっと動揺している。
上半身を起こす。
まだ寝ているみたいに呆けている。
その茶髪は、ずっと同じだと思っていたけれど、こうしてみると自分より赤が入っていたんだな、と思い出した。
俺は黒くなった癖のついた前髪を何となく掻き上げながら全然回らない頭で呟く。
「いつ……戻ったんですか?」
その服は、ユノの服だ。部屋に自分で入ることが出来たんだ……
って、当たり前だろ。
「一時間……二時間くらい前かな」
「そうですか……」
鼓動が打ち付ける。
「ごめん」
まだ呆け気味なまま、その顔を見直す。
「部屋壊した」
ユノが続けて言いながら顎で指した。
一瞬、違う事で謝られたかと思った。
俺は隣を見る。
確かに寝室部分のブロックがバラバラになっていた。
「そんなの……もう必要ないし」
バラバラの寝室に呟く。変な作り笑いになった。
世界が、一気に自分達の大きさに引き戻されていく。
これはただの、小さなブロックのおもちゃでできた部屋のようなものだ。
また前を見ると、ユノの目が切なげに細められていた。
俺よりは小さいけれど、大きくなった顔。俺と似た背丈。
自分と同じ大きさ。
これはユノだ。
ユノが戻った。
戻ったんだ。
はっ、と乾いた笑いが出た。でも俺の顔は全然笑っていない気もする。
つづく