「少し暗い日々の帳を抜けて14」ユノの短編 ウニョク キュヒョン ヒチョル
ウニョクにもう一度病院に連れていけたら行ってほしいと頼んで、俺はカプセルを一つ肩掛けバッグに放り込んで仕事に出かけた。
仕事中にヒチョルから「昨日の時間に駐車場に来い」とメッセージが入っていた。
終わって、昨日と同じ、作業着姿のまま同じ時間に同じ場所で、ブロックに腰かけて待っていた。
駐車場の入り口からTシャツとジーンズのヒチョルが顔を見せた。
「ユノー」
間の抜けた声をかけてくる。
「なんだよー」
返事すると、ヒチョルが笑った。
「受け取れよっ」
その手から、夜の駐車場に弧を描いて、きらきらと輝くものが飛んでくる。
立ち上がりながら、受け止めた。さんぜんと輝く、ジムバッジだった。
「ヒチョル!」
俺が走り出すと、両手を拡げて俺を抱えた。
「ありがと!本当にありがと!」
「お前、言って来るのおせーんだよ」
一日で、独りで獲得したと言う事は、ヒチョルはずっとその実力は持っていたんだ。ジムリーダーを倒した一位の証だった。
「あと七個だぞ、ユノ分かってるな」
俺を抱きしめたまま、またヒチョルが言う。そしてその後には全国を巡るリーグが待っている。まだまだ先は長かった。
「おーい。何やってんだよ」
声が聞こえて、俺達は駐車場の入り口を見た。
ウニョクの背後に、綺麗に包帯を足に巻いてもらっているドラゴンポケモンが飛んでいた。
「お前、あれゲットしたの?」
ヒチョルが腕を離しながら、呟く。
「いないからヤドンに聞いたら、ヤドン知らないって言うから、ルージュラに聞いたよ」
ウニョクが笑っていた。
「ああ、あいつ俺のこと好きなんだよ」
「ジムで飯食おうよ」
ウニョク達が隣に来た。
「お前何食うの?」
ヒチョルがカイリューを見上げた。
つづく