ミノ子の憂鬱19 ユノ×ミノ
「ミノ子、このユノ課長ってあのユノ課長?」
ああ、もう万事休すね。
私みたいな平凡な女にミラクルは無縁だと思ってたけど、
こういうのは起きるんだわ。
やっぱり災害対策って重要。
身の安全を守るのはいつでも自分自身なのよ。
でもウニョ代はともかく、この二人にまで見られるなんて。
「ミノ子さん、ユノ課長が好きなんですね」
「ス保さん、返して」
って、返してくれたけど、みんなに熟読されちゃったじゃない!
もう日の下歩けないわ!
こんなの高校の時、友達何人かと遊園地に遊びに行ったら自分の服が凄い透けてた以来の恥ずかしさだわ!
「でもあの課長、受付の子と付き合ってるわよ」
チャ美……
私以外に知ってる人いたのね……
ユノ課長、うまくやってたのに。
「え、そうなの?」
「そうよ、ウニョ代さん。一年前からよ」
ス保も、流石だわ。
「知ってます。でも元から望みないから、こんなの書いてるんです。笑っていいわよ」
「笑うわけないでしょ。本気で男を好きになってる女を笑える女なんていないわよ。でもその小説は笑える」
チャ美にもだけど、私のバッグの中身、みんなに拾わせちゃったわ。
「あなた才能ないわ、多分」
「知ってます」
でもチャ美、ちょっとずばずば言い過ぎなのよ。
自分に自信がある人間は、本当にこう!
「ミノ子。だから合コン嫌がってたわけ?」
「ウニョ代……それもあるけど、合コン自体苦手なの。男が飢えてるでしょ?女の子がお持ち帰りなんかされて傷ついたりするのも嫌。……今日の人は良い人だったけど。まあヒチョ男さんは、ちょっと変わった人だったけど」
「あの人、あんな人じゃないわ」
「私達のこと、試してたんですよ、あの人」
「私を連れて帰りたいって言ったのも、私が引っかかるか見てただけ。本当にどっかの社長の息子らしいから、イケメンだし、これまで山ほど言い寄られたんじゃない?変な癖がついてるのよ。普段はあんな喋り方でもないわ、きっと」
そんな……
ウニョ代、気付いた?
ってこの子、トイレ行きたくなってるじゃない!
「ウニョ代、お腹押さえてないで、もう一回店に入りなさいよ」
「あ、ごめん。行ってくる」
「あと、女も飢えてるし、男だって傷つくわよ」
チャ美……
「それは……」
「肉体的に傷つくかの話は置いといてだけど。だからいい男なら私は持ち帰られていいし、持ち帰るわ」
「私もそうです」
「じゃあ、二人とも今日のヒチョ男さんはダメだったの?」
「あの人、いい男だったけど、私、狙ってる人いるの」
「私はみんなとちょっとタイプ違うんですよ」
「はあ」
「じゃ、私とス保、結構遠いから、先失礼するわね。今度ゆっくりご飯でも」
「ええ、お疲れ様」
ハンター×ハンターが夜の町を帰って行くわ……
思ってたより、
良く食べる人達だったわね……
つづく