「鶯 エピローグ」ユノ×キュヒョン
ウニョクのいびきがうるさい。
ここはホテルの一室で、俺は同室のメンバーを横目で見ては、苛々とベッドの枕元で膝を抱えて座って、溜息を吐いていた。
頭の中で呟く。
「何でさっきだったんだよ」
『そんなこと言われましても』
「もうちょっと空気読めよ」
『成仏で空気読むとかないですよ』
「だって今まだいられてるだろ?それならあの時だって待っても良かっただろ?」
『無茶言わないで下さい』
「俺は……好きなんだよ?」
『分かりますけど、その気持ち、つらいよね』
「むかつく」
『じゃあ、逝っていいですか?』
「待てって」
『自分、やりたいこと出来たんですよ』
「なに?なんだよ?」
『内緒です』
「言えばいいだろ」
『言ったら怒りそうだから』
「何だよ?ユノヒョンに何かするの?」
『内緒ですって。それより、そんなにやらしいチャンネル見たいなら、音消して見ればいいじゃないですか』
「あんな寸止めされたからだろ!音消したって色々ばれるんだよ!」
『もう今日はエロチャンネル見て寝た方がいいです』
「気になるだけだよ!携帯でいいし、こんなとこでしない!あと別にユノヒョンとそこまで考えてたわけないじゃないし!それより出て行くな」
『出て行けって言ったり、出て行くなって言ったり』
「お前がいなくなったら元に戻ってすっきりするって分かってるけど、今はつらいの分かるだろ?」
『……』
「何黙ってんだよ」
『いえ、別に。でもずっといるわけにはいかないでしょ?ユノさんと約束したんだし』
「大体お前が俺の中に入って来たからこんなことになったんだろ!」
『あんな素敵な人どこにもいないから』
「……」
『いや、黙っても分かるんで。同じ気持ちなんですね、はいはい』
「ばーか!もう出て行け!」
『分かりました。じゃあシャイニーのジョンヒョンさんとこ行きます』
「絶対やめろよ!俺の方が声いいだろ!」
『それは鳥それぞれでしょ』
「違うやつに入って何かしたら許さない!」
『……』
「何か言えよ」
『大体、声じゃないです』
「は?」
『それにあなたの中にいるのは辛いんです』
「何で?」
『だって考えてみて下さいよ?』
「……」
『何喜んじゃってるんですか?』
「うるさい」
『まあ、喜ぶだろうからあなたにしたんですけど、でももう十分です』
「……なに?どういうこと?」
『まあいいです、じゃそろそろ逝く前にユノさんとあんなことやこんなこと……』
「お前みたいな猫かぶった奴ユノヒョンが相手にするわけない!」
『鳥があんなのかぶるわけないですよ』
「もう、出て行けよ!」
「キュヒョン何喋ってんだ?」
「あ?いや、何でもない。いびきうるさいけど寝てろよ」
「そうか、お休み」
『自分が出て行けば同化したところがなくなりますので、悪しからず』
「やっぱり行くな!」
『ふふふ。もう行きました、では、ありがとうございました』
「え、出て行った?あれ?何かちょっとだけ喉の調子悪いかも」
「キュヒョン。なんか起きちゃったんだけど、今、ウグイス鳴かなかった?」
「おい、他のやつはやめろ!」
『お元気でー』
『鶯 エピローグ』完