夢の続き

東方神起、SUPERJUNIOR、EXO、SHINeeなどのBL。
カテゴリーで読むと楽です。只今不思議期。

「レプラ」(病三種1)チェン レイ


映ったものをまた映している。けれどこれが真実の姿のはずだ。いつでも忠実に物事を捉えようと努めていたから。手のひらで頬の表面を覆った。両手で両頬は隠された。だけど、その手から覗かせた部分は丸裸だった。それを消すように、顔の様々な場所をさする。でも、さすった傍から、肌は見えた。

病んでいる。俺の目には、とても出て、見えている。チェンはもう少しさすって、でも強くさすることはしなかった。肌には、外見にはとても気を付けていた。自分はアイドルと言う、芸能人だと言う自覚があった。
手を洗う段階でも、鏡からは目をそらせなかった。見るほど色づいている、毛穴からも早い鼓動に押されたものが出ている気がした。手洗いにまた時間を取り過ぎた、気が付けば水の温度と同じになった指があった。
生きの良い心臓を抱えているにも関わらず、抜け殻のように席に戻った。頭に血液が登っている感覚で、思考が定まらない。


嫌だ。嫌だ。


嫌だ、と思わせている人間の隣に座った。
自覚するんじゃなかった、そう思っても仕方がない。病は、本人が抗おうとも出て来るものなのだ。
丁度良く並んでしまった飯屋のテーブルに投げ出された腕を見る。首から上を見ることに抵抗が出ていたけれど、まだ気付かれていないし、視界に入れることは出来ている。
ネルシャツの腕がチェンの方に近づいた。自分の前に置かれた水のポットを取る。とてもスローに動いた。そう見えただけで、実際の速度はそうでもない。
でもその顔が自分を覗き込んだ。


「なんか具合悪い?」


S字型のパーマの前髪が揺れる。即席でされているとはいえ、その柔らかそうな茶色の波に手を触れて見たくなる。と、同時に発病した。


「どうしたんだよ」


まだ注文した料理は来ていない。続けて聞かれながら伏せた上体を囲むように、それは陳列されていくに違いない。


「ちょっと寝ます」


テーブル中にメンバーの笑いが拡がるのを受け入れつつ、容態が落ち着くのを待つ。自分だって冗談だと思いたい。でも揶揄する声色に混ざって、人の心の動きに敏感な、躊躇いがちな笑い声が耳から全身に流れ込んで、それが本当に自分を案じていて、また可視な箇所に表れてきてしまう。隠れていないうなじは既に晒されている。
診られる。
年下の自分に優しく変わらない兄の、どこまでも白い肌や、国が違うせいで発音が完全ではない「なんか具合が悪い?」、金管楽器のような声、どれもがもう促してしまう。
赤くなっていく。チェンは悶絶していた。











『レプラ』

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