夢の続き

東方神起、SUPERJUNIOR、EXO、SHINeeなどのBL。
カテゴリーで読むと楽です。只今不思議期。

「グレア」(病三種3)ドンへ ヒチョル


遮るものがない、午後四時の光だった。
こんな状態で眠らないようにしている。メラニンが生成されて、肌が黒くなるのをメンバーは嫌がった、アイドルだったから。皆気を付けてはいたけれど、その中でも、色が薄い方だと思う、殆ど付いていないほど。その彼が、眠っていた。
終わりを迎えようとしているけれど、夏の日差しはまだ眩しかった。だけど、傾いている西日は温かな色をして、その質を変えていた。
移動車のバスの中だった。皆はまだ乗ってこない。ここに、二人きりだった。
彼の隣のカーテンに手を伸ばしたものの、そこで時が止まっている。紅くなろうとしている日差しが、黄金に近い色の頭に降り注いでいるのを、ドンへは立ったまま、眺めていた。一直線に下りて行く細い髪の束の、その一本一本を見て、それが自分の目に入ると、昼を思い出した。

夏の昼の、全てに反射する、きらきらと零れ落ちて来るような、光。強い光線の、あたっては、砕け消える様を。


眩しく細める。

目が可笑しい。


車内を染める西日は、透けるような肌を、黄金の髪を、翳らせているのに。この目は異常だった。
けれど誰にも言わなかった。言わなくても済んだ。自覚してから長い。
瞳に差し込んでは、視界を白く、明るくさせていくのを身動きも取らず眺めていた。目を開けていられないほどではない、刹那の連続だった。
行き先を変えた手で、その刹那を掬うように緩慢に、金色を掬った。指に、細いけれど途切れる予感のない糸が覆って、隙間から流れ落ちた。
滑る感覚が良いのもあって、数度繰り返した。
その度に、きらきらと光った。
作りが大きいけれど整った顔の中で、幅の広い目蓋が反応をする。
ドンへは手を止めたけれど、それを下げることはなく、見下ろしていた。
一段と翳った夕日に包まれても、輝きは増していった。
起きた状態では射るようにきつい、肉食動物の威嚇を思わせる眼差しも、意識の半分が夢の中では、まだ柔らかかった。


「何してんだ」


年上の兄貴分のヒチョルが瞳を上に、見ていると言うより、睨んでいた。ドンへは何も答えなかった。
自分の頭上に浮かぶ手が、下ろされないのを見て、覚醒した威嚇は鋭さをなくしていく。むしろ大丈夫かとこの身を危惧しているような目と見つめ合って、ドンへはゆっくりと瞬いた。踏んでいた、考えつかないだろう。だって、何も表れていない。


「お前、変わった?」


だけど、ヒチョルは聞いた。
ドンへは不思議に思った。のんびりと、転々と視線の先を移動させながら、何が変わったのだろうと思った。
まるで強い日差しを浴びたように、興奮で肌を紅潮させているのには、気付かなかった。













『グレア』(病三種)おわり

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