「不思議な夜に3」キュヒョン×イトゥク
「そういえば夢の中で」
キュヒョンが手元の酒を見ながら思い出しているのか、面白そうな顔をした。
「ヒョンが押し倒されてましたね」
「本当だよ。ひどいよ」
「かわいかったですよ」
やめろーって言いながら仕方ない奴だなと思ってまた笑った。
「でも、俺思ったなあ。あの夢見て」
キュヒョンが続ける。
「あの俺たちが成った女子がいるじゃないですか?」
「うん」
しかし、これ素面だったらパニックな会話だな。
「間違ってるなあって。必死で俺たちの外見や可愛さみたいなので、くっけようとしてたけど、やっぱり可愛さは女の子に勝てないし、俺がヒョンを好きになるなら、やっぱり中身だなって」
「外見は大事だよ」
「そうですか?」
「だから、俺たちはくっつかないんだろ?外見が男だからさ」
「なるほど。じゃあヒョンの外見が女だったら俺はヒョンを好きになりますか?」
「随分と男らしい女だけどね」
「自分で言ってる」
キュヒョンが楽しそうに笑った。
「でも俺は、キュヒョンが女の子だったら好きになるかもな」
「なんでですか?」
色の白いキュヒョンの顔がちょっと赤くなったのがわかった。
「一緒に呑んでて楽しいから」
嬉しいのか嬉しくないのか微妙な顔でちびちびとキュヒョンが酒を呑む。多分表情の通りの心情なんだろう。
微笑みながら酒を注ぐ。少しこぼしてしまってティッシュで拭いた。
「ヒョン、ゆっくり呑んでください」
キュヒョンがまた困ったように笑う。
ゆっくり呑みながら「お前は強いね」と言う。
「そんなことないですよ。俺も結構きてます」
「お互い明日遅くて良かった」
「はい」
確かにかなり酔いが回ってる。火照ってきたから窓を開けようかと思案したのと、眠気も出てきたせいか会話が途切れた。
「ねえ、ヒョン」
キュヒョンに向くと、こっちをずっと見ていたみたいだった。
「なに?」
確かにこいつも大分目がすわってきている。
「すごいこと言っていいですか?」
「なんだよ」
キュヒョンが酒を脇に置いて、身を乗り出してきた。
「なんか気になってきて」
酔いながら真剣な顔をしてるのと、何を言うのか分からなくて噴き出して笑った。
その俺を見ながらキュヒョンが言う。
「ヒョン、キスしてみたいんですけど」
「まさか」
鼻で笑った俺を見つめてくる。
「あのセリフ言っていいですか?」
「あのセリフ?」
「ほら、俺の。『男同士でキスしてみたらどうなるんでしょうねえ?』」
全く感情が入っていない言い方で、キュヒョンが「キュヒョン」の真似をした。
つづく