夢の続き

東方神起、SUPERJUNIOR、EXO、SHINeeなどのBL。
カテゴリーで読むと楽です。只今不思議期。

「Happy Yellow Birthday!」D.O



――それを口に入れると顔をしかめると言う。




ギョンスはチャイムの音に振り返った。
可笑しい。
そう思わなかった自分に、艶々と色づいた質感のある唇の端を片側だけ上げた。
それはこのチャイムが、自分だけがここにいることを知っているからで、洗面を済ませ、自室に戻るところに不意打ちをくらっても、その表情だった。
ギョンスの予想通り、すぐにロックは解除されて、早すぎる冬の到来を思わせるマフラーを巻いた彼の恋人が入って来た。
ギョンスと同じ、男だけれどそれは別に良かった。
にやける顔を抑えて向かう。
相手もスニーカーを脱ぎ、薄手のコートをひらりとさせながら向かって来る。
両手を拡げてその彼を迎え入れようとした瞬間、顔をしかめた。


「なにそれ」


ギョンスの口から低めの声で呟かれた。
相手は紙袋を抱え込んでいた。
薄茶のそれから顔を覗かせているのが、深夜の暗さに不釣り合いな色で、ギョンスの白目とはっきりと区別をつけた黒目に飛び込んできた。
ギョンスは眉を寄せた。


「え、檸檬」


「それは分かります」


一層眉を寄せて応えながら、自分達の間に緩和材のように挟まったそれを、のけぞって確かめて見た。服も着た同じ身長の自分達は鏡を合わせたようになった。


「それどうしたんです?」


「撮影で使ったの貰って来た」


「なんでそんなの貰って来たの?」


「他に誰もいない?」


シウミンは、質問には答えずに周りを見廻した。
いないと分かってこの夜中にブザーを鳴らした確信犯は、ギョンスがいないことを言う前に、さっとその質感のある唇に口づけた。
ギョンスは黙る。


「なんか綺麗だったから。他の果物は置いて来たけど」


他の果物なら食べられたかもしれないけど。
普段ならそう言うところだったが、さっきの口づけで火が付いたギョンスは相変わらず黙っていた。相手の金髪がふわふわと揺れている。


「みんなに一つずつあるよ」


多分それ意味ないですよ、というのも口に出さずにギョンスはそのシウミンの腕を掴んだ。


「ベッド」


掴まれて、更に吐き出された言葉に目を丸くさせながら、シウミンは悪戯っぽく笑った。


「ほら」


紙袋の中に手を突っ込んで、取り出したものをギョンスの口につける。
唇を冷たく硬い果物の皮に押しつぶされて、表情無くギョンスは顔を背けた。


「農薬が……」


まだ彼に回していた手の片方を離して、口を拭った。
破顔しながら、その黄色い果物を、今度は自分の上向きな唇につけてシウミンが言った。


「農薬の間接キス」


そう言って声を出して笑った相手を、無表情のまま目に入れながら、ギョンスは力いっぱい掴んだ腕を引く。その唇の形を少し自分に似ていると思ったことがあったけれど、今はただ欲望の増幅剤としか思わなかった。
腕を引かれながらもシウミンは笑っている。


「これでさあ、初めて二人きりになったお祝いしようぜ」


「あとでしましょう」


その大量の檸檬で何ができるのか分からなかったが、ギョンスはそれどころではなかった。


「なあ、おめでとうって言えよ」


「はいはい、おめでとう」


年上のメンバーの腕を赤くなるほど握りしめて、ギョンスは自室に急いだ。


「あ、こぼれる」



彼等のあとには、生まれたての太陽のような果物が落ちて行って、辺りを照らしていた。















『Happy Yellow Birthday!』END

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