「Happy Yellow Birthday!~エピローグ1」D.O スホ セフン チャニョル
*こちらを読まれる方は何のことやらだと思われますが、宜しければどうぞ。
肌の白い顔の青年がダイニングテーブルを覗き込んでいた。
首を捻りながら、一つ持ち上げて見る。
「あ!」
と、言われて、びくりと体を動かした。
スホは何事かと、紙袋から取り出した檸檬を握りしめたまま、怪訝な顔をした。
「だめです」
ギョンスが近寄って、スホの手の中のそれを奪い取る。
「え、何が?」
「兄さんはだめ」
「何?」
ギョンスのかたくなな顰め面を見ながら、スホはまた首を捻った。
「あ、檸檬だ」
そこに、このアイドルグループの末っ子が登場した。
セフンはギョンスの後ろから紙袋に手を伸ばす。
「だめだ!」
「え?」
と、目を丸くしながらセフンは一つ掴んだ。
「お前もだめだ」
「え、何が?」
ギョンスに問いながらセフンは黄色い果実の香りを嗅ぐ。
「やめろって、返せ」
ギョンスが手を伸ばして奪い取ろうとするのをセフンがその手を上にした。
身長差が10センチ以上ある弟に、ギョンスの振り上げた腕は虚しく空ぶる。
「なんなんだよ。ってかどうしたんだよこれ」
スホがまた一つ紙袋から取り出した。
その檸檬は深夜にシウミンが持って帰ったものだが、彼はまだベッドで寝ている。
夜中、彼が面白がって檸檬の一つ一つに口づけたのを見て、ギョンスはそれを他の人間が弄ぶ前にさっさと何かに使ってしまおうと思っていた。
スホはふと檸檬に頬ずりした。
「だめだー!!」
「なんなんだよ!」
笑いながらスホは続ける。
「そんなことしたら檸檬が怒ります!」
ギョンスが手を伸ばす。
「怒らねえよ」
スホはあははと笑いながら、その黄色い肌に更に顔を寄せた。
「やめろって!農薬ついてますよ!」
ギョンスはますますやけになって奪い取ろうとする。
「なに?檸檬?」
大きな目をこすりながら、このグループきっての高身長のチャニョルが、ダイニングに入って来た。まだ半分寝ているらしく目蓋は完全に開いていない。
セフンがにこにことした笑顔で、自分の持っていたそれを彼に持たせた。
「なんかさー、ギョンスが面白いんだよ。これいじると怒るの」
スホは笑いが止まらないのか、体を前に屈めてチャニョルに言う。
「え、なに?ギョンス何で?」
チャニョルは持たされた硬い皮の果物を親指と人差し指でつまみながら、それをもにもにと動かした。
スホがこうしろと自分の持っているものを頬にすり寄せてチャニョルに見せる。
された通りにチャニョルがぼんやりと頬ずりした。
ギョンスはそれを口をへの字にさせて見つめる。
「何で言わないんだよ!チャニョルはいいのかよ!」
スホが叫んだ。
『Happy Yellow Birthday!エピローグ1』END