ミノ子の憂鬱26 ユノ×ミノ
「はい、一口だけよ。それより何でよ?」
「美味しいね。これ。セブン?」
「うん。いいから教えてウニョ代」
「はいはい。なんかさ、私これでいいのかなって思ったんだ。実家帰れば新しいことに出会えそうじゃん」
確かに私達、「これでいいのかな」の代表みたいなもんだけど。
「でも総務移ったばっかりじゃない」
「それは良かったんだけど。ハンター×ハンターとも話すようになったし。でもこの仕事、私じゃなくてもできるんだよ。それにこんなに合コンしてるのに、彼氏もできないし。あいつらと別れてから、私ずっといないじゃん?」
あのクズ彼氏たちね……
一人は二股してた挙句、女といたところに偶然遭遇したウニョ代のこと、知らない人だって言い切って、次のは、ウニョ代の貯金持ち逃げして行方不明。
思い出しても腹立つけど。
本当にこの子、男運無いのよね。
「気になる人とかいないの?この前の合コンはどうだったの?」
黙っちゃったわ。
ウニョ代黙ると長いのよね。
時間大丈夫かしら。
「……いたのはいたよ。この前の合コンに」
「ちょ、ちょっと!本当?」
驚いたわ!言いなさいよ!
「うん……ヒチョ男さん」
「あ!あれ?あの変な人?」
この子の趣味どうなってんのよ!
「ハンバーガーにお醤油かけてくれたし。あれで何かキた」
それ知らない人が聞いたら、いじめられたエピソードよ!
「何で言わないのよ!連絡先は?交換したの?」
「交換してないし言えないよ。だってあの人、社長の息子だって言ってたじゃん。そんなの無理だって、ミノ子だって分かるでしょ?」
「そんな……」
でも、チャ美とス保ならともかく、
私達に手が届く相手じゃないって、確かにそれは思っちゃう。
だけど言ってくれたら……
ううん、私もユノ課長のこと言えなかった。
「あの人はもういいよ。それより地元で誰か見つけようと思ってる。実家手伝うのもいいし」
「え、パン屋?」
「そう。ウニョ人兄ちゃんまだ結婚してないし、もしこのまま独身だったら手伝わないと」
「まだ若いじゃない。すぐ結婚するわよ」
「私達の男版だからね、兄ちゃんは」
「ウニョ代……本気なの?」
「……それがまだ迷ってる。だから有給取ったんだ。来週、実家帰るわ。予行演習するよ」
「私はウニョ代の思うようにすればいいと思うけど。でも」
ん?
今何時?
多分やばいわ。私腕時計しないのよね。携帯携帯。
「あ!時間よウニョ代、って、やだ!ここ欠けてる!」
今朝落としたからだわ。最悪ね。
ロビーの床って結構硬いんだわ。
「大丈夫よ、そのくらい。私の見てよ」
「……ちょっと!これどうやって使うのよ!」
ばりばりじゃない!
「この前なんか一日圏外になってたけど、今は復活してメッセージも打てるわ」
こんなの指切るわよ!
「いや、それより行かなきゃ、ウニョ代」
「うん」
つづく