ミノ子の憂鬱30 ユノ×ミノ
駅前のパン屋また並んでた。
良く分かんないのよね、あれ。
もしかして中、ラーメン屋なのかしら……
いいえ、そんなことなかった。
ラーメンは置いてなかった。
まあ、いいわ。今日もセブンのバタースコッチパン。
イケるの、ふふ。
それから抹茶クリームフラペチーノ。
今日は抹茶入ってる。やっぱりこれよ。
「ちょっと、あなた」
むせた!
もう!ロビーで飲まないわ!
「汚いわ」
「なんなのよっ」
最強チャ美!
「ふーん。あなたコンビニなんだ」
「なによ。いいでしょ」
「私も。無性にカップ麺食べたくなったから」
カップ麺食べたくなる時はあるかもしれないけど、何個買ってんのよ。
買いだめ?
「そう言えば店決まったわよ」
「……ス保さんから聞いたわ。なんか朝うちのフロアーに用事があったみたいで」
「ああ」
何でチャ美笑ってんのよ。
「何なの?」
「タイプの男見つけたのよ、ス保」
「え?」
待って。突っ込みどころ満載だわ。
「まだ何もしてないわ。見に行っただけ」
「そこじゃないわよ!見つけたって……あなた達なら男性社員みんな知ってると思ってたけど」
私は知らないけど。
まだニヤニヤして、何なのよ。
「これでピンと来ないのね、あなたそんなんじゃダメよ」
「どういうことよ?」
うちの部署は今日、私が一番早かったし。
じゃあ、隣?情報システム?
確かにあそこは時々泊り込みの人出るけど。
でも私だって同じフロアーだから、全員の顔知ってるわ。
ん?
……。
「……まさか」
最近、先輩の引継ぎで入って来た男子で、直ぐに向こうに移った社員がいる。
人事と話が食い違ってたとか言って。
だから来月、こっちは派遣社員で一人補充されるけど。
でも……
「……あの人はないでしょ」
あの男子社員、いっつも頭ボサボサで。
私が言うのも何だけど、全然ぱっとしない人よ。
本当に頭ボサボサなのよ。
「ないかどうかはス保が決めることよ。ほら、本人よ。彼もカップ麺ね」
つづく