「PLAY15」ユノ×チャンミン
「みんなに見つけたって連絡しときました」
「ありがと」
と、答えながら、ここ最近で一番伸ばしている後ろ髪に手をあてる。
冷たい水と寝ていたせいかVネックのニットの首元から冷気を感じる。
この階の空調はもう止められているんだろうか。
「どうしたんですか?」
やっぱり酒が回っているみたいだ。
聞かれても頭がうまく働かない。
「感傷的になったのかな」
口に出したのも無意識だった。
「みたいですね」
この頃の自分を見透かされていたようだった。もっと馬鹿にされるかと思って、照れと気まずさで視線を動かしたけど、チャンミンはそう言って微笑んだだけだったから、視線はその微笑みで止まった。
俺が意外に思ったのも分かったのか、
「気持ちは分からないでもないんで」
とつけ加えられた。
ここ数年はなかったな。というかはじめてかもしれない。俺は酒が回っていて、チャンミンの微笑んだ顔を呆けたように見ていて、チャンミンも俺の顔を見ている。
俺達がこんなに長くお互いの顔を見ていたのは、はじめてかもしれない。
そう思った矢先に、チャンミンから視線を外した。
自分達の間にある窓の外に目をやる。
「ほら、ヒョン。これが日本のテレビ塔ですよ」
と言って、窓に頭をつけた。
「知ってるよ」
と言って噴き出して笑う。
俺の笑い声を聞いて、外を見ながらチャンミンも大きめな口の口角を上げる。
二人の間に、上海のあの青い夜景と対照的な、暖かな色に照らされた電波塔と、光の町があった。
つづく