夢の続き

東方神起、SUPERJUNIOR、EXO、SHINeeなどのBL。
カテゴリーで読むと楽です。只今不思議期。

「兎になった日 3」CNBLUE(ジョンヒョン)東方神起(ユノ) EXO(スホ) SHINee(テミン)SUPERJUNIOR(キュヒョン)


「ギョンス」
「はい」
「肉食いたくない?」
「さっきラーメン食べましたよ」
そうだな、とつまらなそうに首を傾げているグループのリーダーを、ソファーの上からギョンスは眺めた。
黒目が大きいのか、強い目元は太い眉が原因か、その部分もつまらなそうにしている。
ロゴの大きく書かれた白いTシャツとハーフパンツで床に胡坐をかいて、ストレッチをするように前に倒れたりまた起き上がったりしていた。
ギョンスは手元のリモコンを取って、テレビを消した。この年上のメンバーは一緒に見ると言って、全然見ていない。自分も面白いとは思わなかった。しかし彼のは、そのせいではないのは分かっていた。
深夜の静寂が訪れたリビングで、消えたテレビに気付かないように足元で同じ動きを繰り返している。
ギョンスは白目のはっきりした双眸で、横目に眺めた。
朝帰りが続いているメンバーがいるからだ。
恋の相手が、事務所の人間ではないと言うことが彼を神経質にさせている。
「お前、何か聞いた?」
その妙なストレッチを繰り返しながら、自分に向かって言う。外は肌寒いが、室内は少し暑いほど空調が効いている。
「いいえ」
呟くが、彼はこちらは見ない。風呂に入りたてのつるっとした顔はさっきから一度も笑わない。
色のついた唇はへの字に曲がったり、尖るだけだった。
偶然にも今メンバーの中で同じ黒髪になって、身長も同じ位であることに似たものを感じたが、黒いTシャツを自分が着ていたことに気付いて、むしろオセロみたいなものかとギョンスは思った。
「あいつここ出るかな」
「同棲?」
見ない相手に目だけ向けたまま、呟く。
「まあ同じマンションに?」
向けた瞳をぼんやりと反対の方へ動かす。想像してみたが特に何も思い浮かばず、また彼の方へ向けた。
「出ないでしょ」
答えてみたけれど、でも、分からないなと思った。
「どうかな」
言いながら上半身うつ伏せている。ギョンスは視線を一瞬上にしてそっと溜息をついた。
「兄さん」
「何?」
その状態で答えられる。
「何か作りましょうか?」
彼の顔が、半身と共に上げられた。どうしようもないと言う気持ちは、少しおさまった。
「いや、いいよ。お前も疲れてるだろ」
ドラマ撮影の合間に訪れた束の間の休息だった。
何もしたくないのは本当だ。けど、嫌いな事ではなく、塩梅的に優先しても良いと思った。
「良いですよ。久しぶりに」
「何作るの?」
ギョンスは瞳をもう一度上に向けて、今冷蔵庫や棚にあるものを思い出してから、彼にそれを向き直して、呟いた。
「ラーメン」
「食った」
今日初めて見た彼の笑顔だった。
ギョンスも今日初めて、綺麗に真ん中がへこんだ上唇を上げて歯を見せた。
「野菜はまだ残ってましたよ」
夜ご飯に宿舎にいたメンバーで出前を頼み、その一つの肉料理と一緒に包むための野菜だった。
「あれ変だったよな」
「人参が入ってましたね」
顔をしかめながら、小さかったが丸のまま包んでぽりぽりと食べていた目の前の人間を思い出し、ギョンスは一層笑った。
「野菜で野菜包むんだもんな」
しかし、目の前の人間は唇を尖らせている。
「細く切ってあるなら分かるけど」
腹を抱えて笑いかけたギョンスは、でもそれをしなかった。
笑わなくなった相手を見て、立ち上がった。
「何かあるか見てみます」と、更に顔を上げた彼を見下ろし、冷蔵庫に向かった。
「あ……」
大分切られて残り3センチほどになったハムがラップに包まれ冷蔵庫の淡い照明に照らされていた。
「ハムありました」
それを持って戻ったギョンスは、そう言いながら、誰もいない静かなリビングに立ち尽くした。
少し部屋を見渡して、そこに盛り上がった抜け殻のように残された彼の衣服を見下ろした。
白目の強い目元を歪める。
ロゴの入った白いTシャツは動いていた。
眉を寄せてしゃがみながら、ハムを持っていない方の手を、盛り上がったそこに置く。
「スホ兄さん?」
声をかけると、手と、布地の下からひくひくする長い髭と鼻先が現れた。
そこからぴょんと出て、フローリングに敷かれたラグの上を何度か跳ねて移動する丸い尻尾の小さな後ろ姿を、ギョンスは暫くその体勢のまま、見つめていた。











つづく

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