夢の続き

東方神起、SUPERJUNIOR、EXO、SHINeeなどのBL。
カテゴリーで読むと楽です。只今不思議期。

「その目で笑って 4」(キュヒョンの場合)ヒチョル SUPERJUNIORの短編


「お前は途切れさせないなあ」
羨ましいよと、キュヒョンは言われて、
「努力のたまものかな」
と、元から上がる口角を上げ、自信ありげに答えた。
「俺にも伝授して」
また言われ、自信は消えたように良く開いた二重の目を斜め前に走らせる。
その位置にはソファーに足を組み、どっかり腰を下ろしている少し伸びて来た黒髪の年上がいる。
厚い唇の端を片側だけ上げて、手元の携帯電話を見ている。
相手は可愛い新人アイドルの女の癖に、とキュヒョンは久しぶりに仕事を一緒にする同じグループのメンバー眺めた。
その目が向いた。白目のきつい、幅が広い二重のつり目は一瞬人を黙らせる。
キュヒョンも一瞬だけそうなった。
「ヒチョル兄さん。その子と付き合わないの?」
「付き合ってくれないんだよね」
俺は頑張ってるんだけどね、とまた手元を見て言う。
彼女とのやり取りも中断し、キュヒョンは持っていたそれを脇に置いた。
「伝授しましょうか」
「おう、頼む」
画面から目を離さず、平然と呟かれる。黒いスーツに合わせる中が違う衣装は、ハイネックのセーターを着た自分だけ暑いようで、キュヒョンは首元を触りながら、「じゃあ」と前屈みになった。
白いシャツを合わせられたヒチョルは涼し気な顏をしている。
「とりあえず外見を褒めまくる」
「だめだろ」
そう言って、携帯電話から自分に向いた兄をキュヒョンは見る。
「だめじゃない」
「つけあがるだろ?」
「つけあがるけど、少しやり取りしたら、全然褒めなくすれば良い」
厚い唇でにやりと笑って、前屈みになった彼に、キュヒョンも口角を上げ、
「俺達なら、これで大体大丈夫。連絡は続けて、月に数回会えば」
と、続けた。
「だめだな」
不敵な笑みのまま言われ、キュヒョンは「なんで?」と逆に口角を戻した。
「今、俺はそれをしてる」
そう言って、ヒチョルは携帯電話を、前のテーブルに置いた。
キュヒョンは顔を上げた。
「だめなの?」
「全然な」
更に笑うと、その表情は穏やかになる。微笑んでいる兄をキュヒョンは見つめた。
この兄が、そう言いながらも大体誰かと付き合い、メンバー1女の友人がいるのも知っている。しかし、ヒチョルはまた言った。
「これは年だね」
元からきめがこまかく白く、週に一度はメンテナンスをする兄は、たるみは出てきたが、まだまだ綺麗な肌をしているのに、じゃあこちらがその年齢になればどうなるんだと、キュヒョンは白いが、色々と問題のある自分の肌を思った。
「兄さんは俺の次に格好良いですよ」
「ありがとう、全然嬉しくねえ」
ヒチョルが笑っている。
「この前付き合いかけた子兄さんのこと好きだっただろ」
「そう言う子もいる」
蛍光灯に照らされた楽屋の中で、他のメンバーもソファーに座ったりスタジオに行ったりする中、話しているのは二人だけだった。
「お前くらいまでなら良いんだよ。今はどんなに頑張っても、付き合えない子が出て来る。これは年齢で足切りされてる」
ふわふわした黒髪を掻き上げて、落ち着いたみたいに視線を落とした。
キュヒョンも、栗色の自分の髪を触った。
「それで最近は狂ったように、若い子に行ってんだ」
「良く分かってんな」
また笑うと兄の歯茎が見える。楽しそうにしていると、普段はそんなきつい目をしているのが分からない。
やっぱり、兄は試してたのか、とキュヒョンはほくそ笑んだ。
「お前の恋愛話だけが楽しみになる日が来るな」
「いつも人のそういう話いきいきするよね?」
「だって楽しいし」と、笑い声を出して手を叩いた相手を、キュヒョンは良く開いた二重の目で見つめて、「いつでもしてあげるよ」と答える。
四つしか離れていないけど。
でも縮まることのないそれを、良かったと、キュヒョンは元から上がっている口角を上げた。
もっと前屈みになり聞いて来る兄に、喜んで答えながら更に上げる。
こっちだってネタを仕入れるのが大変になってきたけど。








『その目で笑って(キュヒョンの場合)』おわり

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