夢の続き

東方神起、SUPERJUNIOR、EXO、SHINeeなどのBL。
カテゴリーで読むと楽です。只今不思議期。

「続きでも笑って 3」(テミンの場合)ミノ SHINeeの短編




子供たちの声が階下から聞こえている。
「こんなの撮った?」
「撮っただろ。リーダーが何か撮影中に財布すられてさ」
テミンは笑った。長袖シャツからのぞく肌は変わらず白く、笑うと目尻に皺が出はじめ、頬が下がって来たが、唇は変わらずピンクに近い。
「あれ?これあの子だろ」
それから丸い目で、箱に詰めらた写真集の一冊をとらえた。
彼女も子供がいる。持ち主の昔の恋人だった。
「捨てるつもりだったんだよ」
言われながら、ベッドの上から手を伸ばして、取り出し、他の写真集とともに拡げた。
布団の上で、少し肉付きの良くなった元メンバーが、ジーンズと長袖のTシャツ姿で、挟むように座る。
「懐かしいな」
と呟いて、テミンは顔を上げる。
「そうか?」
ぎょろりとした目が見た。
額がひろくなったものの、小さい顔はそのままで、今でもきっと昔ほどではないが、伴侶が心配するほど女性が寄って来るはずだ。
テミンは微笑んだ。
「この子さ、俺に似てない?」
その目が下を向いて確認している相手を丸い目で見下ろす。
「これ、奥さんに見せてみよ」
「まじやめろ」
下を向いたまま、ミノが答えた。
「そんなに?」
言いながら、開いた写真集をさっと取り上げて抱えた。
「すいませーん、お宅のご主人」
立ち上がって冗談ぽく呼びに行こうとした体を羽交い絞めにされる。
相手も笑っているが、力を強くされ、本気でテミンは身をよじって抵抗する。まだダンスをする体は、体格差があっても、無邪気な相手をうつ伏せにして、その上にのしかかった。
「俺が本気出せばこんなもんじゃない」
すこし悔しげに言われ、テミンは鼻から息を出した。
「年だよ、兄さん」
「変わんないだろ」
片手で彼の手首を抑えながらも、もう一方で自分の口元を抑えてテミンは笑っている。
「離せよ」
「いやだな」
テミンに言われ、下の人間の大きな口がにやっと笑って、「どうするつもりだよ」と返した。
彼の後頭部をじっと眺めて、
「このまま兄さんを、俺が犯すから」
そう言ったピンクの唇からは笑みが消え、丸い目には寂しさが混じった。
自分の握っている白い袖から出た手首を見て、そこからお互いの指にはめられた指輪を見つめた。
「そんなことされたら、俺、奥さんと別れてお前とくっつかないと」
見つめている相手はまだおどけた声で、
「テミンもだぞ」
と、続けた。
笑顔が消えたどころか、テミンは、目の前が少しぼやけてくるのを感じた。
それいいね、と言えばきっともっとぼやけると思った。
返事のない自分に、相手も黙った。
視界をクリアに戻すように、天井に一度向き、瞬きをした。
「それはいやだな」
微笑んで言って、視線を少し下げた先に置かれた姿見に気付いた。鏡越しに見つめ合った。
険しい眼差しが見ている。
テミンはすぐに離れて立ち上がった。
「そろそろ下に」
言った自分の横を通り過ぎて、ドアに鍵をかけるスタイルの良い長身を丸い目で見る。
「ミノ兄さん?」
険しいそれのまま、前に来て、白い自分の手首を掴まれる。
テミンは凝視してから、顔を上げた。
「ベッド上がって」
丸い目を見開きながら、手を払った体を抱え込んでベッドに倒される。ばらばらと雑誌や本が音を立てた。
のしかかっている体はびくともしない。
テミンは唖然とした。
「随分遅かったよ」
見上げたまま、言葉が出ない。
「俺の方が先だった」
そう続けた男の視線の先には、彼の恋人の写真集を顔の横に開いている自分がいる。
思案するため瞳を泳がせたあと、意味に気づき、険しさが抜けたその目をテミンは、呆然と見つめた。
しかし、大きな口が再び開かれて、
「だから、テミンも覚悟してよ」
と、ぎょろりとしたそこから溢れて来たものに後押しされるよう、待ち受ける困難も追い払われ、反射的に頷く。
溢れそうだったものが、こぼれずまた見えなくなったのは、焦点が合わないほど近づかれたからでなく、自分も嬉しかったからだとその唇を覚えながら、ピンクの口の端を上げた。








『続きでも笑って 3』(テミンの場合)おわり

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