はい、明日。
「僕はユノヒョンの味方ですから」
「おお、ありがと」
って何でここにリョウクがいるんだ?
今日はここのレッスンルームは俺達だけだったはずだ。ダンスの合間にベンチに座っていた俺の目の前に現れる。
ちなみにチャンミンはまだ中で寝転がって死んでいる。
キュヒョンが遅れて加入しなければ、一番の弟だったリョウクは背格好も小さくて可愛らしい。
まだリョウクに言われた方が考えようがあったよ。
いやないな、やはり男はない。
「リョウク、何でここに?」
「雨で、ロケ撮がなくなって。自分達も練習になったんです」
ということは。
「浮気だーー!!」
まあそうだよな。ばたばたと駆け付ける足音に無心になる。
「あ!ユノヒョン目なんか瞑って、恋人に会えた喜びが感じられませんよ!全く油断も隙も無い人だな」
その台詞、実生活で初めて聞いたな。
「キュヒョン、調度良かった。俺の話を聞いてくれるか?」
危うく、自分の運命を呪うところだった。
これはチャンスなんだ、頑張れ俺!
「俺はお前と付き合ってないし、そもそも男同士っていうことに」
「ユノヒョン。キュヒョン、チャンミンのとこに行っちゃったよ?」
だから恋人に会えた喜びはどこ行ったよ!
目を開けた俺を困ったようにリョウクが覗き込む。
「キュヒョンは弟だからさ。みんな反対なんか出来ないんだよ。多分気が済むまでやれば、目が覚めると思うけど。それまで待ってあげてよ」
それはいつですか?ってかリョウク、お前味方って言ったくせに!
「お前もお兄ちゃんなんだな」
「まあちょっとね」
苦笑した俺に悪戯っぽく笑う。
「でもユノヒョンの味方だよ。あ、そろそろ行かないと」
「俺もだ」
「キュヒョンに声かけといて下さい。じゃあまた」
「おー」
スタジオに戻ると、寝転がっているチャンミンに、キュヒョンがスポーツドリンクを飲ませていた。
「あ!ユノヒョン!今見てました?チャンミンに俺がこれ飲ませてたの、いい奴だな、優しいなって思ったでしょう!付き合って良かったですね!あ!また目なんか瞑ってる!それ何なんですか!」
「で、何で今日もここにいるの?」
いや、このテーブルにつくまで、ちょくちょく言ってたんだけど。「まだ分からないじゃないですか?」「ネガティブな返事は受け付けません」で、今ここに、俺の宿舎のダイニングに、キュヒョンと座っている。
いやいやいや、俺よ。もう少し自分を大切にしようぜ!
「ユノヒョン!今日も俺の好物ばっかりです!」
うん、そう。お前良く今まで彼女いたな。ってか結構ひっきりなしに付き合って来てたな。女って本当に分からないよ。
「……うまそうだな」
キュヒョンがにこりと笑う。
まあ、うまそうなのはどうしようもない。仕方ないので、箸を取って来る。
「ほら」
キュヒョンが不思議そうに自分を見た。
「……ありがとうございます……?」
お前ね、これ位でそんな顔するって、そっちのとこの宿舎はどうなってるわけ?
手渡した箸を受け取りながら、キュヒョンが目を輝かせた。
「俺のこと好きになりましたね!」
よし!これからは各自で取るようにするから、早く食おうぜ、ってかこれからはないからな!
そして食べ終えて玄関でキュヒョンが俯く。
「泊まりたいんですけど、俺これから発声練習しなきゃだめだから」
「キュヒョン、あのな。泊まる以前に、ここに来る必要ないし、俺達付き合って……っておやすみなさいくらい言えよ!」
閉まったドアに溜息をつく。
確かにちょっと長く喋った俺が悪かったのかもしれない。
これからは一言目に付き合ってない位がいいな、ってこれからはないんだけどな!
つづく