「ジル・ド・レの住んだ町8」ユノ シウォン チャンミン キュヒョン
まだらな、光が、揺れている。 暖炉と、あまり使われない台所を背後にして、この不必要なものが何もない、仕事一筋の友人が、自分の反応を待って首を傾げた光景が、段々と遠ざかるのを感じる。 今朝も猫捕りに精を出していたのだろう、土埃の少しついた栗色の髪の毛と、白い肌、傷のついてしまった手の友人を、チャンミ... 続きをみる
東方神起、SUPERJUNIOR、EXO、SHINeeなどのBL。
カテゴリーで読むと楽です。只今不思議期。
ジル・ド・レの住んだ町のブログ記事
ジル・ド・レの住んだ町(ムラゴンブログ全体)「ジル・ド・レの住んだ町8」ユノ シウォン チャンミン キュヒョン
まだらな、光が、揺れている。 暖炉と、あまり使われない台所を背後にして、この不必要なものが何もない、仕事一筋の友人が、自分の反応を待って首を傾げた光景が、段々と遠ざかるのを感じる。 今朝も猫捕りに精を出していたのだろう、土埃の少しついた栗色の髪の毛と、白い肌、傷のついてしまった手の友人を、チャンミ... 続きをみる
「ジル・ド・レの住んだ町7」ユノ シウォン チャンミン キュヒョン
薄れていく理性に追いすがるように開かれた襟元を抑える。まだ震える体を引き剥がす。 「男同士でしょう」 振り向いて言いながら、自分の意志は矛盾しているのも分かっている。 でもこんなこと知らない。 ユノは少し視線を落として薄笑みを浮かべたまま、まだらな光の下に立っている。 「チャンミン」 こんなにも自... 続きをみる
「ジル・ド・レの住んだ町6」ユノ シウォン チャンミン キュヒョン
教会へと向かった。 チャンミンは信仰があつい方ではない。 訪れるのは、特別な儀式の時くらいなものだ。 けれど、今日は行きたいと思った。 博愛という名が、全てを受け入れる愛であるなら、その大きな懐ではおのずと正体の分からない気持ちも顔を出すのかもしれないと思ったからだ。 それほど、 チャンミンは自分... 続きをみる
「ジル・ド・レの住んだ町5」ユノ シウォン チャンミン キュヒョン
「他のメインと取り換えます」 チャンミンは顔を上げた。シウォンはフォークとナイフを置き、ナプキンで口元を拭く。 「え……何でですか?」 シウォンはそれには何も言わず、瞳の大きな、目自体も横長で大きなそれをチャンミンに向けた。 チャンミンは、言葉を詰まらせた。 自分の皿に取り分けられた兎肉は殆ど減っ... 続きをみる
「ジル・ド・レの住んだ町4」ユノ シウォン チャンミン キュヒョン
キュヒョンは手に持っていたグラスを落としそうになって握りしめる 「みなさん、楽しんで頂いておられるでしょうか……」 注目を引くための合図も必要ない。 この三人が入ってきた瞬間、全員が彼らに向いた。 城主が話し出した台詞はキュヒョンの耳には遠く聞こえた。 なんてきらびやかな三人なのだろう。 この時代... 続きをみる
「ジル・ド・レの住んだ町3」ユノ シウォン チャンミン キュヒョン
「ニャア……」 「我慢しろよ。まあ俺なら無理だけど」 キュヒョンは檻を足元に置いて、ぶつぶつ言いながら、壁に打ち付けてある鏡を見た。 酷いな。 栗色の髪を揺らして、体中の土埃を払うと、鏡がすすけた。 それも気にせずに、ひっかき傷までついた服を脱いでいく。 それから木のテーブルの上に置いた懐中時計を... 続きをみる
「ジル・ド・レの住んだ町2」ユノ シウォン チャンミン キュヒョン
作法通り定刻より遅れて人の集まる夜会は、それが定刻とも言うことが出来た。 乗合馬車でやって来るものもいれば、徒歩のものもいる。 町の若人のほぼ全員が集まるのだから、それはこの時代に相応しい垣根のない夜会となっていた。 チャンミンは自ら所有の馬車で、城に赴いた。 垣根を超えたとはいえ、男は全員が黒の... 続きをみる
「ジル・ド・レの住んだ町1」ユノ シウォン チャンミン キュヒョン
*ユノの相手がチャンミンではない可能性がございます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 時は19世紀初頭。 これは二人の、とても仲の良い青年達が住む、小さな町に起きた物語。 フランス革命後、アンシャンレジームと言われる旧体制が崩壊し、古い封建制度が撤... 続きをみる