夢の続き

東方神起、SUPERJUNIOR、EXO、SHINeeなどのBL。
カテゴリーで読むと楽です。只今不思議期。

「犬畜生」ベッキョン チャニョル EXOの短編


顏の右側に飛んできた枕を小さなつぶらな目だけを動かし捉えた。
俺は良く分からないんだけど。
それから、男ってこんなもんなのか、とベッキョンはここ最近思うことをまた思う。
自分しか例がないが、他を見て来た感じこんなんじゃなかった。
つぶらな目は、生まれて来てから今まで仕入れた男のイメージを、次は何もない場所に描いた。
漫画のヒーローは、海賊になるとか言って、阿保みたいに気楽な感じだった。
映画では、好きな女のために冷たい海で、体張って凍って死んでいた。
テレビでは、24時間ぶっ続けで、悪と戦ってて、結構感動した。
確かに俺も、あんな感じではなかった。
韓国で海賊とか、みんなすごい心配して俺を病院に連れて行くだろうし。
好きな女と海とか、ファンに生卵とかぶつけられてSNS炎上するし。
悪とか、戦う可能性ゼロとは言えないけど、あれ警察の話で警察何してんだよって言うか、俺より先にマネージャー戦ってくれ。
「聞いてんのかよ」
声を張られて、ベッキョンはそちらを見た。
沢山思い出してみたが、やはりこんなのもいなかったと正面の男に思った。
丸い巨大な目が周りを赤くしている。
天井の白いLEDライトに照らされてそこら辺が濡れているのが分かる。
「聞いてるよ」
と答え、ベッドの中央で自分に威嚇しているその男に歩み寄り、中央ではなく淵に腰かけた。
自分よりも大分高い長身が、タオルケットを抱き締めている。
睨んでいた。
「そんなに怒ると思わなかったんだけど。それ普通?」
「あ?面白い感じに言ってんじゃねーよ」
頭からかかったタオルケットを、ベッキョンは片手で取って落とした。仕事を終えたばかりで、セットされたままのストレートの長い髪がはらりとする。
こいつらしいお洒落に見える気がするデザインの黒いTシャツだなと、それからボクサータイプの下着に視線を落とした。
今日のこの原因は、さっきの収録の合間に話しかけて来た元恋人が腕を絡めて来たからだった。
彼女らしかったし、それでもお互いをもう恋愛対象には見ていないのも分かった。恋心はないが、キープしておきたい気持ちや、他の異性に対するアピールなのも分かる。やはり可愛いとは思ったが、もう過去のことで、自分の無下には出来ない思いも伝わったのか、相手の表情は、何となく達観した優しさがあった。その感じも良かったし、自分達はそのまま会話していた。
同じ楽屋にいた、今の恋人が、こんなに怒るとは思わなかった。
男と付き合うことになるとは、およそ二か月前には思いもしなかったが、結果こうなって、だが男なのだから自分と同じに考えてしまう。
あの子可愛いんだから仕方ないだろとか、言わなくても分かるだろとか。男なのにそんな小さなことで怒るなんて。
でも、怒った、とベッキョンはため息つきかけた。
しかも泣きやがった。
「泣くなよ」
「うっせーよ」
怒って泣くなんて、俺が愛されてるのか、こいつが女みたいなのか。ベッキョンは整った顔を眺める。
「もうしないって言ってんじゃん」
「そういうことじゃねーんだよ。あーゆーの普通にしたお前が信じらんないし」
声を荒立てる相手にお前はしねーのかよ、と聞きたいところだったが、この言いぶんからすると火に油を注ぐなと向こうより小さな口をつぐんだ。
「それが違うって俺たちダメってことだろ」
大きな手で、目元を覆う。
おいおい。
「そこまでじゃねーだろ」
蹴られた。
いって……と呟きながらベッキョンは痩せた腰をさする。女と違って、大きく硬い男の足で蹴られると痛いことを自分の恋人で学んだ。こうなる前からもあったが、こうなって三週間目が記憶に新しい。
やっと、相手が受け入れることに慣れて来た時、深夜のベッドの中で。
「ちょっと気持ち良くなってきた」
頬を赤くして、切れ長のぴかっと光る大きな眼で見上げて来た時。煌々と今みたいに電気をつけたまま、メンバーが他の部屋で眠る中、ことに及んで。
超苦労した。
自分より体格のある人間とするのは初めてだったし、何もかも手探りで、一応最後までこちらはできていたが、相手の苦痛がなくなるまで、三回。
ベッキョンは、男の尻に指を突っ込むことにも抵抗はあったが、綺麗に洗うのに相手が率先してしてくれたからそこはどうにか気にならなくなった。
本当に俺はこいつが好きなんだよな、と何度も言い聞かせたおかげか、自分サイドはその都度完了してきた。相手は繋がった状態か、後で手で完了させた。
しかし、苦痛がとれたどころか、気持ちよくなったと言うことで。
「良かったな」
とベッキョンは見下ろしたまましっかりと頷いた。
相手の膝が裸のみぞおちに入った。
衝撃で脱落したが、それも構わず腹を抱え、うずくまった。
「なんだよ」
他のメンバーが寝ている手前、声は抑えた。
「お前女にもそんな言い方してんのかよっ」
「お前は女じゃねーだろ」
痛みに耐え、折角たってたのにと自分の健気な下半身を可哀想に思いながら声を絞り出した。
「お前、こっちは尻にいれられてんだぞ!」
「お前が中折れしまくるからこうなったんだろーがよ」
両想いになってしまってから、最初は有無を言わさず抱かれる側にされ、身長もあるし穏便に行こうと黙認したが「あれ?あれ?」と情けない調子を見せられるのに限界が来た。しかも女にはどうだったか知らないが、かなり痛い思いをした。
「交代です」
掌を差し出して、しぶしぶそれを叩かれてからはスムーズだった。
情けなかった理由も、「男だからとかじゃなくて、緊張した」と妙な形の耳まで赤くして腕で顔を隠しながら言われたら、それなりに欲情出来た。筋肉で締まった巨体にも同性の股間にも慣れ、これで万々歳だなと頷いた途端に蹴りが入ったが、あの時も、「こんなに緊張したの初めてなんだよ」と必死な眼差しで言われたら、口で復活させてもらったあと、何とか継続出来た。
何気にこいつの唇には色んな意味で助かっている。ベッキョンはチャニョルの好きな部分を眺めながら、腰をさする。
艶々して色づいている。メンバー1の身長と、整った顔立ちをしているが、中でもちょっと女っぽい綺麗な唇は、男だけど良いと思った。大きな目で見上げ、その綺麗な唇に含んで、少し苦しそうにしている表情はかなり早く促される。
「何か言えよ」
もうその顔から手はおろされ、睨まれていた。何か言わせてくれるということは、まだ俺達には先があるということだ。他にも前にこうやってぎゃあぎゃあ言われた気がしたなとベッキョンは思い出そうとしたが、それよりも。
「じゃあ、抱いてやるから寝ろよ」
相手しかシャワーに入っていないが、良いだろとシャツのボタンを外さず中のTシャツごと背を掴んで脱いだ。
ジーンズのベルトにかけた手に硬いかかとが落ちてきた。
「いってんだよ、指折れんだろ」
「お前元カノには滅茶苦茶気使ってたろ!」
「それが面倒だったんだよっ」
折れそうになった指を振りながら答える。
自分がどれだけ気使ってたか、それがどれだけ大変だったか、一番近くで知っていた相手はすべすべした肌を濡らしたまま、切れ長の大きな目を見開いた。
「いや、それで別れたんじゃないけど。……だから、違うだろ」
面倒だからお前とこうなったんじゃない、と言うのがベッキョンは本当に面倒くさかった。気を使うと言うのは、風呂とかではなく、いちいちつっかかる相手に納得のいく説明をし、はなからそうされないよう気を回していたと言うことで。
あーあ、と見開いたそこから、涙が溢れるのをベッキョンはつぶらな目で見た。綺麗な唇が歪んで言う。
「お前、出て行けよ」
「じゃあ俺どこで寝んだよ」
「自分のとこで寝りゃいいだろっ」
「何かあった?」
ドアの外から聞こえ、二人とも入口に向いた。
何でもないと、上半身脱いだまま、チャニョルの不安そうな大きな目を見ながら答える。ハスキーな声が廊下に届き、そう、静かにしてよ、と足音が向かいの部屋に入った。
こうなったことは誰にも言っていない。パニックになるのは目に見えていて、事務所に知れたら宿舎を離されるかもしれない。メンバーで一番仲の良い友人だったのだから、大体のことに怪しんだりされるわけもないが。
自分以外全員入ったなとベッキョンはシャワーを浴びるか迷う。ベッド脇の長い棚に陳列されたCDと一緒に置かれた電波時計は深夜1時を表示している。
チャニョルと顏を合わせた。最近変えられた白に近い紫の髪は違和感があるが、可愛くも見えた。なぜ友人同士だった時は、何でも分かり合えた気がしていたのに、恋人になるとこうなるのだろう。
「とにかく、今日はごめん。それと、面倒だったからお前と付き合ったとかないだろ。
そんなに簡単に男と付き合えるわけないじゃん。今やりたかったけど、シャワー浴びようかな。俺が出たら鍵かけんの?」
ベッキョンは言いながら、目の前の恋人が膨れ面を壁に向けて、聞きたくない風に体を丸めて、寝やがったと凝視した。
「あ?話してんだから寝んなよ」
答えろよ。
ベッドに乗りあがって、向けられた広い黒いTシャツの背中を倒す。
見上げてきた顔が、白に近い紫の髪まで赤くなりそうで、肩を動かし、逃れるように背けられた大きな眼は壁を見たまま。
うなじまで赤い男に照れて、にやけながらベッキョンは、頭を斜めに傾げる。はらりとするストレートの髪はベルトを外し、下着ごと煌々とした床に落とし、今日も完了させるまで揺れていた。







『犬畜生』おわり






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