夢の続き

東方神起、SUPERJUNIOR、EXO、SHINeeなどのBL。
カテゴリーで読むと楽です。只今不思議期。

「類人猿」セフン カイ EXOの短編


セフンが白い掌を向けると、興奮で半開きだった厚ぼったい唇は、今にも平たく白い胸に喰いつかんばかりだったのを止めた。
しかし、そこはもう唾液で濡れ、慣れたが異臭を放っている。
「ちょっと今日はここまでで」
そう言われ、カイはくっきりとした二重の目を怪訝に歪めた。
歪めたが、そろそろと自分からどけた人間と合わせて、中々筋肉のつかないひょろりとした長身を起き上がらせ、セフンは自らの細い顎を片手で掴む。
しばし、どこを見るともなかったが、冷たいと捉えられやすい小さな目を横にずれた相手に走らせた。
「思ったんだけど」
筋肉のついた、体格の良い相手の脚の間はまだ準備万端で、しかし、神妙そうに本人はこちらを見つめていた。
股間から、汗だくの神妙なそこに視線を上げ、セフンが、
「俺たちやり過ぎじゃないかな」
黒い短髪から額に落ちてきた汗を手の甲で拭っている相手に呟くと、ぐりっとした目を瞬かせ「え、そう」と返された。
「うん。たぶんね」
言いながら、顎に片手を置いたまま頷き、少し身体をよじらせると、自分から大量に流れ出そうになりセフンは眉を寄せて押しとどめた。トイレに行きシャワーを浴びる前に、ちょっと話しておかないとな、と耐えた。
確かに、付き合ってすぐとかだと三回くらい続けたことはある。あの時も、彼女は少し辛そうに笑っていた。芸能人の自分が時間をとって会えることなんてそんなにないから、ここぞとばかりになってしまい、数ヶ月はその状態が続いたことがある。
セフンは瞳も小さいそこで、細く可愛い女性陣が二回目くらいまでは大丈夫そうだったが三回目になると、無言で厳しさを全身から漂わせていたなと愛らしい過去の姿を思い出し、見ていた。
だが、実際に視線の先にあるのは、それより一回多いにも関わらず、五度目の挑戦を待ちわびて、はちきれんばかりの相手の股間だった。
顎を掴み、セフンは無言で考えていた。
もう半年になる。
いろんな意味で今までにない相手で、燃えるような始まりだった。自分達のアイドルグループはデビュー時12人だったが、それが一人、また一人といなくなり、俺達が頑張らないとだめだ、ダンサーなんだからと深夜のレッスンルームで相手に独白された時、なにか、予感がした。グループの弟である自分達二人が奮起した時間が、そのまま共通の思いを抱くのは相手しかないと思う、精神的距離まで縮めて行く、そんな感じがした。
距離がなくなった瞬間、なし崩し的に相手にマウントをとられ、ダンスの実力、普段の自分達の立ち位置などが頭にあったのか、セフンは同性なのにそのポジションで受け入れてしまった。それでも相手とどうにかなりたくなったと言うのも強かった。
毎日会うことが出来るなんて、お互い夢のようで、激しく求められ、自分が求めたこともあるが、数日続けてかなりの回数され、初めてにも関わらず、容赦なかった。相手の頭は沸騰しているのが分かるので、最初から自分で準備をしたし、予想通りカイは、数日経ち、やっと男同士には前段階があり、協力の上に成り立つと学習したことを行動で示し始め準備の手間は省けて行った。が、一か月経っても男の恋人は一向に衰えることがなかった。徐々に影響が出はじめた。
「腰痛むのか?」
「大丈夫です」
リーダーに心配されながら、腰をかばい、踊る相手を横目に見て、セフンは「ほら、そうなるだろ?」と声に出さず口をぱくぱく開き独りで抗議した。段々とダンスが鈍くなる恋人に「本末転倒とは、このことだ」と遠い目で天を仰いだ。
だから、自分が。自分が頑張ろうとしても。
「セフン、どうした?リズムずれたぞ」
そう言われるが、全身が怠くて仕方がない。セフンは顔を顰め、年上のメンバー達に心中で言い返しながらも、怠くて重い手足を振り回し踊った。
俺たちのダンスが目に見えて悪くなって行く。
だが、自分が頑張るしかない。相棒が猿みたいに盛るから仕方がないと、セフンはそれでも奮闘し、関係が落ち着くまで待つつもりだった。
半年が経過した。
セフンは色々考えた。最長で五日しか間をあけられず、お互い意識が朦朧とするまで何度もされる。自分がそんなに出来るのか同じ男として、危機を抱いたり。
それと、ちょっと半年はないな。
今日も、鼻息荒い相手の後頭部をはいはいと撫でて、天井を見つめながら、意を決した。情事は滞りなく執り行われたが、やはり失神に近い就寝まで滞りなく執り行われそうで、セフンは待ったをかけた。
もう体が限界だ。毎回足腰が生まれたてのようになってしまうのもここまでだ。相棒だって、どや顔で必要以上に重心を傾けながらひいひい言って踊っているさまは見られたものではない。
メンバーの中で高い背丈の弟二人だが、いつの間にか体格に大分差が出来た相手を見つめる。
「回数減らすか、月二くらいにしないと俺達もたないよ」
ダンスももたないかもしれない。
今日も部屋に入った途端キスを仕掛けられ、始まったので、自分達は明るい床の上だった。これは開始から終了までベッドだと毎回洗濯物が気になるのもあった。その代わり擦りむいたり痣が出来るから、クッションやタオルケットを駆使するが、それでもあちこちに出来ているし、もう目を瞑ってはいられないのだ。
素っ裸のまま掃除の行き届いたフローリングの上で、カイは向こうの木調のドアを背に、明らかに気落ちした表情をした。
全体的に整っているが先の丸い鼻で長い溜息をつき、真ん中に切れ込みでもいれたような厚めの下唇を突き出している。
だが、なぜ、そこは収まらない、とセフンは小さい目を見開き、唖然と見つめた。
相手はくっきりした眼差しを床に落として脱力しているのに。
見なかったことにして顏を背け、肌の白いひょろりとした自分の身体に新しく出来た小さな擦り痕を発見し撫でながら、セフンは、肩を落として何も言わない相手にばれないよう溜息をついた。
俺達は一体どこに行くんだと他人事のように思ったあと、
「分かった。あと一回だけ」
そう観念して言うと、感動した笑みを浮かべた相手に、何で俺はあの時、時間制限にしなかったんだと意識を失いながら最後のベッドの上で悔やんだ。







『類人猿』おわり






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