夢の続き

東方神起、SUPERJUNIOR、EXO、SHINeeなどのBL。
カテゴリーで読むと楽です。只今不思議期。

「蜂ノ膝」シウミン チェン EXOの短編


首を捻りながら、部屋に入って来た。
深夜の部屋に廊下から差し込んだ黄色い線が拡がって消えた。
「どした」
シウミンはベッドから顔だけ起こした。
「んー、なんか」
歯切れの悪い返事をしつつ、Tシャツの肩を揉んで額の広い頭を左右に振ったチェンの、金に色の抜いた髪はまだ乾ききっていないのか、水分を含んで見える。
眠気の来ない切れ長の眼差しを爛々とさせ、タオルケットをめくって起き上がる。
クーラーをかけなくても大分涼しく、タンクトップ一枚だとシウミンは肩に寒気を感じた。
ルームメイトは両側の壁につけられたベッドの間に立って、頭を傾げている。
「何だよ」
眠れず、丁度良い話題を提供してくれそうな年下のメンバーに、シウミンは心躍らせた。
「いや、何でもないです」
端の上がった口の開く人形みたいな口元を尖らせたり、にいっと引っ張ったりさせていたが、向かいのベッドに腰をかけられる。
お互いベッドにはタオルケット一枚で、二人いるのに、片付け好きな上に物を置かない同士の部屋は殺風景だ。
スケーターのチェンは、もっとインテリアにこだわりたいところもあるだろうに、気を使って置かないようにしているのを知っている。時々、気にするなよと告げても二人の部屋はあまり変わらなかった。全員の部屋の中で、一番白っぽく見えた。
まだ納得のいかない顔をしているが、これは教えてくれなそうだなとシウミンは見ていた。
「髪、もっと乾かした方が良いんじゃない?」
月光しかない暗い部屋でも分かる金髪に言うと、「あ、まだベッキョン浴びてないから」こちらにつり目が向き返された。
「そっか」
肌の白い己の、赤い唇の端を上げる。二つある風呂場だが、今日はメンバー全員の収録で帰宅し埋まった。メンバーの一人を気遣って早く脱衣所から出た相手に、っぽいなとシウミンは微笑んでいた。
半年前まで、誰にも言えない関係だった。
同性同士で、恋心が生まれるなんてあり得ないと思っていた。今まで女にしか興味なかった自分達に起きた、恐らく一生に一度の化学変化だと思う。
始まりは部屋も別々で、隠すのが大変だった。
何もかも新鮮で、毎日驚きの連続で。
しかし、やっと相部屋になったものの、そこで終わりを迎えた。同性同士の恋の終わり方を知った。自分達は嫌な部分があったわけではなく、本当に自然にさめたのだ。異性相手ならのばせる賞味期限は、本来異性が好きな二人には、どうにもならない期限なのだとシウミンは分かった。
男であることを認めて好きになっていたのではなかった。好きな期間はお互い男でも女でもないものになって、さめると男に戻った。
そして、恋人としては生理的に受け付けなくなる。
幸せだったのは、その時期がずれなかったことだ。あとは異性と変わらない。あの時は、あんなにも好きだったと思うのに、もうその恋心は思い出せない。いつもはじめが楽しすぎて、終わりなんて来ると思わないが、自分の意志に反してそれは消えていってしまう。残るのは、あの時はあんなにも、と不思議に思う気持ちだけだ。
あんなにも特別だったのに、いつの間にか過去の恋人に並んでしまった。
シウミンは、今も正面の相手を懐かしく見てしまう、とても良い恋をしたと自分達を思い出した。
多分これから出会うどの彼女にもこんな感じは持たないだろうと思った。相手を嫌いにならずに、恋愛感情を抱くほど人間的に惹かれた相手の印象を何も変えずに済ませられた。
そして、離れなくて良い。直後は気まずさはあったが、それももうなくなり、一番気心知れた友人になることが出来た。
どちらかが女だったら別れずに済んだかもしれないと考えることはあったが、それを悔やむほどの想いは、もう相手にもない。
「眠れないの?」
恋人同士になってから、二人きりの時は良くチェンは敬語がぬけて、今でもそれは続いていた。口が開く人形みたいなあの口元に、沢山キスをした。
記憶だけは残っている。
カーテンレールの上から漏れる月明かりしかない部屋で、シウミンは懐かしく眺めた。暗い部屋でも分かるのは、沢山の思い出が二人にあるからだ。
切れ長の目を向けながら、でもこれだけ一緒にいても、知らない部分は増えるんだろうなと思った。例えば、さっきの教えてくれなかったことは、もしあの頃なら、ベッドでキスし合っている最中にでも言ってくれただろう。
「うん、なんか」
何となく寂寞感を覚えながら、シウミンは答えた。
「あったかい物でも飲む?」
でも、変わらない気遣いをしてくれるとそれも消えた。
「飲もうかな。一緒に飲むなら、珈琲入れてやるよ」
「眠れなくなるよ」
「じゃあ、違うのにしよっか」
同時に立ち上がったのも可笑しく、赤い唇をゆるませながらシウミンは隣に並ぶ。
暗い部屋をぬけ、黄色い光の指す廊下に出ると、並んで歩く自分より背の高い過去の恋人を少し見上げた。
気付いて笑いかけるつり目に、シウミンも笑い返す。
そして、復活したこともあった異性との恋愛をふと思い出した。
もしかして、自分達にもそういうことはあるのだろうかと疑問が浮かんだが、答えは今の二人には勿論出ない。
だけど、もっと明るい台所に着いたら、さっきの話をもう一度聞いて見ても良いかもしれないとシウミンは未来の二人に思っていた。








『蜂ノ膝』おわり






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