夢の続き

東方神起、SUPERJUNIOR、EXO、SHINeeなどのBL。
カテゴリーで読むと楽です。只今不思議期。

「今日の料理 2」ユノ シウミン 東方神起の短編 EXOの短編


一足先に小さく切り終えた人参を残して、隣に料理家がいなくなっていた。
シウミンは口をぽかんと開けて、一体何が起きたと、時が止まったように固まる。
彼はまだ新人なのだ。
言葉が思い浮かばず、呆けていたが、やっと我に返って見ると、料理家はただしゃがんでいただけだった。
「ゆ、ユノ先生。何か」
これは生放送なのだ。腹でも痛くなったのなら、一人で切り抜けなけなければならない。声を落として「大丈夫ですか」と言いかけると、カウンターに隠れてこちらを見上げ、下唇の厚い口元に片手の人差し指をあてて「しいっ」とされた。
幼く見える顔に不釣り合いなきりっとした眉を寄せ、シウミンが目を凝らすと、料理家は片手に、目も開いていない子犬を持ってミルクを与えている。
「うおっ」
な、なにやってるんですか。シウミンは囁く。スタッフがざわつきはじめた。
「なんか外で拾っちゃって。クーラーで寒がるから胸に入れてたんです」
見上げたまま照れたように笑われた。
「スタッフの胸に入れといてくださいよっ」
料理番組なのに、パークハイオットットの衛生観念はどうなっているのだと、シウミンは高級ホテルに抗議をしたくなった。
だからあんなに膨らんでたのか。料理家の胸元を思い出すシウミンに、彼が申し訳なさげに「子犬なんて任せたら悪いですから」と苦笑した。
「今、凶悪ですよ!」
四十八歳の男に、ずけずけと返してしまったが、気にしていられなかった。始まったばかりのアナウンサー人生に、もう終わりが見えて来たのだ。
「ごそごそし始めたらお腹すいた合図だって、さっき父さんが電話で教えてくれたんです」
全く気にせずはにかむ料理家をシウミンは見下ろしながら、会ったこともない他人の親を恨みそうになったが、「ほら、良く飲んでる」と言われ、小さな哺乳瓶から白い子犬がミルクを吸うさまを見せられるとでれっと頬は弛んだ。
スタジオの端で今にも恫喝しそうなディレクターも何が起きたのか気付き、困惑している。
カメラマンも困惑し、カメラは先ほどから男二人の囁き声に小さく切った人参だけがじっとうつされ、それで放送時間の三分の一が過ぎていた。
シウミンは覚悟を決め、正面に向き直った。合わせて、カメラもやっと人間を映すことが出来た。
「ゆ、ユノ先生が子犬拾いましたっ」
子犬をスタジオに入れてしまった時点でもう料理は続けられないのだ。隠すより正直に言って、番組を去った方が良いだろうと腹をくくった。
しゃがんでいる料理家に立つように手で合図を送ると、切った人参の前で照れて立って、料理家は子犬をカメラに見せた。
ディレクターの無言の指示で、二人はそのまま最後に料理を囲むテーブルに移動する。
「あの、ぼくも飲ませて良いですか?」
こらえきれず、シウミンは出来上がっているポテトサラダが置かれたテーブルの上で、手を伸ばすと、「はい、どうぞ」と、料理家はにこにこと渡してくれた。
「ユノ先生。このミルクどうしたんですか?」
「ここ出たところに芸能人の方が良く行かれるペットショップがあるでしょう」
「ああ、そこで」
二人に見守られながら、子犬はお腹いっぱいにミルクを飲んだ。カメラマンも鼻の下を伸ばし、その様子をおさめる。
「それでは今日の料理です」
ディレクターの指示でいつもの台詞をシウミンは言った。
料理の手順をほぼ撮れなかった分、早口に材料の分量と、ポテトサラダの作り方を喋る料理家の声に合わせて、満腹で、うとうとし出した白い子犬のアップがうつされた。
子犬の寝顔に『ポテトサラダ』とテロップが入り、時間が来た。今日の料理は終わった。
「それでは、ユノ先生。今日の料理は何ですか?」
「はい。今日の料理は」
そして、大きな反響を呼んだ『ポテトサラダの回』は、大好評で、シウミンはクビにならず、あれから同じ料理家もたびたび呼ばれる。
「では、シウミンさん。一緒にピーマンを切りましょうか」
「はい、先生」
視聴率はうなぎのぼりで、真面目な仕事ぶりに他の番組からもまたお声がかかっている。
「種をきれいに取るには、へたからこうすれば良いんですよ」
「こうですか?」
「そうです」
「綺麗に取れました……あれ?ユノ先生?」
白い犬は今もシウミンが飼っている。






『今日の料理』ユノ シウミン





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