夢の続き

東方神起、SUPERJUNIOR、EXO、SHINeeなどのBL。
カテゴリーで読むと楽です。只今不思議期。

「スホの白い馬 1」シウォン スホ SUPERJUNIORの短編 EXOの短編


モンゴルの大草原に、一人の気高く美しい青年が住んでいた。
部族内では珍しく、肌が白く、ごつごつとした騎馬民族の体格もなく、手足も綺麗で、遠くから見れば漢族や朝鮮族の大柄な女に見えることもあった。
遊牧民族でもあるモンゴル族だが、彼は仲間の中で一人、移動することなく、大草原の片隅に定住し、一頭の馬を飼っていた。
青年の名はスホと言った。仲間たちは移動のしない彼を不思議がるものの、時が流れ、また同じ地に戻った時に出会えば人当たりの良いこの青年と仲良くした。
青年は、草原に建てられたパオと言うテントに居住し、近くに耕した小さな畑で農耕をした。
畑にはキビが植えられ、食うための羊、乳を取るための山羊も何匹か放牧している。大方自給自足で暮らしていた。
時々移り住んで来る仲間達のパオも近くに建てられることは滅多になく、両親も早くに亡くした彼の唯一の心のよりどころは、馬だった。
あるじに似て、白く美しく、「シウォン」と名付けていたこの馬を、スホはとても大切にしていた。
しかし、あるじの元をひとたび離れると、シウォンは大変な暴れ馬であった。誰の言うことも聞かず、野生馬の本能をむき出しにし自由気ままに駆け回った。それが青年の一声で、行儀よく彼の側へ寄り添うのだ。
ある夏の終わり、シウォンにまたがり、スホが数日前、久しぶりに近くに移り住んできた新しい仲間達に挨拶に貰った羊の礼をしに出かけた時のことであった。
砂漠の方から来た彼らは、スホの住む草原よりもそちら寄りにパオを構えた。手厚い歓迎の中、山羊の乳で作った手製のバターを大量に彼らに渡していた時だった。突然の豪雨が襲い、雷鳴轟いだ。
自分から離れ草原を駆けまわっているだろう飼い馬が心配になり、咄嗟にもて成してくれた彼らの長の住居を飛び出した。
大雨の中、白く美しい馬は遠くからこちらに戻って来るところであった。
しかしその時、灰色の空から一筋の雷光が、シウォンに、走ったのだ。
スホは叫び、駆け寄ろうとしたが仲間達に抑えられた。
すぐに嵐は去り、倒れていた馬のもとへ向かったが、もう死んでしまっていた。
膝から崩れて泣く不憫な飼い主へ仲間達が飼い馬を分けると提案したが、頑なに断り、永い眠りについたシウォンと共に、スホは自分のパオへと届けられた。
美しい白い馬は家の中で横たえたまま、埋めることも出来ず、その姿を見ることも辛く、外に出てスホは泣き続けた。
なぜあの時、放してしまったのだ。
スホの涙は、モンゴルの大草原に染み込み、途切れなかった。





つづく



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