夢の続き

東方神起、SUPERJUNIOR、EXO、SHINeeなどのBL。
カテゴリーで読むと楽です。只今不思議期。

「今日の料理 4」チャンミン シウミン 東方神起の短編 EXOの短編


伝説の料理人は急にやる気をなくすのだった。雇われ先が繁盛すれば興味を失いそこを去って来た。それは彼を知る人間には暗黙の了解でもあり、十分に利益が出た後のことで裁判沙汰にもならず済んでいた。
しかし、後払いの契約で、短い収録時間のうちにまさかそんなことはないだろうと踏んでいたが、当日、モデルと見間違うような身長が高く、脚も長く、顏も整った姿を見せたシム・チャンミンは、控室に現れた途端、ディレクターの言葉にもあまり反応を見せず、打ち合わせもほぼ言葉を発することなく終わり、全員を怯えさせた。
シウミンが控室に挨拶に伺った時に目に入ってきたのは、スタッフ達が一生懸命にやる気を出させようと、彼に向かってガラガラと音が出るおもちゃを振ったり、「いないいない」と言いながら自分の顏を手で隠し、「ばあ」と開いて見せたりしている様であった。
報酬の件よりも、番組の信用問題に関わることで、ディレクターは本番前にやっきになって、シウミンに何パターンもの料理人がやる気を失った場合の対応を練習させた。
もう何が起きても対処できるように、全員が心構えをしていた。
とにかくレシピは彼が事前に伝えて来たものだ。伝説の料理人のレシピを公開することはクリアできるのだ。
彼が途中で面倒にならないように、料理は簡単に出来、人気も高い「唐揚げ」に決まっていた。
ただ、ここにも問題があった。なんと彼が伝えて来たのは、何の変哲もない最もオーソドックスと言って良いほどの唐揚げの作り方だったのだ。
つまり、シム・チャンミンのやり方でこれが伝説の味になるということだ。ということは必ず最後まで彼に作らせなければならない。
この日のスタジオの張り詰めた空気感は凄まじく、シウミンももう自分が美味しい唐揚げを研究し作った方が楽なのではないかと思うまでだった。
事実、シウミンはこの数週間自分の作った唐揚げしかほぼ毎晩食べていない。
なのでちょっと太り、そして、腕は上がっている。
「シウミンか、よろしくな」と挨拶はしてくれた話題の人物が、皿を差し出し、今日の料理は唐揚げですと決まり台詞を言った様子を、背筋に冷や汗をかきながらシウミンは見届け、はじまったとカウンターの陰で拳を握った。





つづく



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