夢の続き

東方神起、SUPERJUNIOR、EXO、SHINeeなどのBL。
カテゴリーで読むと楽です。只今不思議期。

「白が降りしきる深夜 6」テミン セフン SHINeeの短編 EXOの短編


『何番出口?』
『6番です』
『分かった』
初めて見る私服姿に、ビニール傘の下、柔らかそうな黒いストレッチパンツや、薄紫の半袖のパーカーに、セフンは声を無くして立ち尽くしてしまう。スーツよりも、長年合わせてきた形の服を着ていると不思議さが増して見えた。良かったのは、いつもの小馬鹿にした表情をしていたことで、顔を少し傾けて見られると、時が止まって感じた。
唖然として喋らない後輩に小さく息をつきながら「会ったよ」と言い放つ。
「家に行きたいです」
顔を傾けたまま何度か丸い目が瞬いてから、とぼけた口調で呟いた。
「なに?」
「人に聞かれたくない話がしたい」
重ねて言うと、その表情から柔らかさがなくなる。
見つめ合ったまま、セフンは、自分よりも大きく、あとから鼻筋を通したようなそこも、傘の柄を持つしっかりした先の丸い指も男であることは明白なのに、なぜ自分は中世的にこの人間を見るのだろうと考えた。
だがそれは、「あのさ、人のうちに来たいって時は」と呆れた声で話し出され、答えは出なかった。
自分に観察するように見つめられた彼も中断し、黙った。
黙った、とセフンは少し気分が高揚した。黙るところまで俺達は来た、と胸が高鳴った。
「汚いから外で良いよ」
ピンクの唇が尖って見えたが、「汚くても良いです」とここまで来たら、力づくでもどうにかしようなどと考え、表情はないまま急く気持ちだけを、落ち着けと言い聞かせた。
丸い目が悪い奴だと窘めたが、セフンは反応せず、答えを待った。
しばらく見合ったが、腹を括った相手が、
「早く帰れよ」
踵を返したのに、安堵の息を漏らしたが、すぐ「あ、傘」と気づいた。
足を止められ、傘を無言で自分の方へ傾けられ、セフンは今日の午後と同じ位の位置に立った。
合わせて歩きながら、横目で、白い頬から首にかけて捉える。鼓動が相手に聞こえそうだと思った。
部屋は汚くないだろう。テミンはデスクをいつも小奇麗にしているし、髪や、服から不快な匂いなど一斉したことがない。今も服からは柔軟剤の香りがしている。それに汚く、幻滅でもできれば、それはそれで悪くはない。
そんなことを考え、気を紛らわせるしかなかった。






つづく

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