夢の続き

東方神起、SUPERJUNIOR、EXO、SHINeeなどのBL。
カテゴリーで読むと楽です。只今不思議期。

「情状酌量の余地アリ 2」ユノ×キュヒョン


大袈裟に吐いた溜息が白く形を変えた。やっぱり帰ろうかと思ったけれど、俺は全てを思いだして尚、男の意地みたいなもので、いや、もうエントランスを通されてしまっているから今更帰れないと言う諦めが殆どで、ブザーを押した。
直後、ドアは開いた。
仕事現場から帰ってすぐだったらしい。硬く整えられた黒髪とカジュアルではあったけれど、スーツ姿にぎょっとした。でも、
「入れよ」
と、僅かに微笑まれた、その感情を押し殺したような顔に、ぎょっとした驚きも飲み込まれた。
用件はうすうす感づいてはいるけれど、確定ではないもどがしさに、足を進めることしか出来ない。親友と同棲、というか宿舎だから、強制的に同棲になっている部屋の玄関に、俺は足を踏み入れる。この人がいる時、殆どここに来た事がない。昔の宿舎で、彼等がこうなる前は、数回一緒に飲んだことがあるけれど、こうなってからは、俺が気にして、二人の住居には極力入らなくなった。
リビングに通されるのだと思っていたら、予想外に、「こっち」と言われて、先輩の寝室に通される。わけがわからないまま、恐らく覗いたこともないその部屋に俺は今日、はじめて客として招かれて、入った。
部屋は綺麗に整頓されている。自分のところの宿舎もそうだけれど、ここも家事をしてくれる人間がいる。それでもすぐ散らかす、と良くチャンミンが言っていたから、今日は、もしかしたらこの人が仕事中に掃除されたばかりなのかもな、と頭を巡らせた。
「俺が掃除した。昨日」
鏡越しに言われた。姿見の前で上着を脱いだ本人に。俺は心情を見透かされたのと、これから言われるだろうことに何も返事できず、部屋に入ったまま立ち尽くした。
「ベッドに座って」
その言葉に、そろそろとベッドに座った。同棲と言ってもマネージャーも入るし、一人部屋なのが若干安心させた。昔、見た部屋は青やら緑やら、幼い男っ気があったような気がしたけど、今はモノトーンで統一されている。誰かにコーディネートされたままで、手をつけてないのかもしれない。そういう関心が薄そうな人だから。
「荷物置きなよ」
ぎこちなく頷きながら、足元に持っていたリュックと脱いだダウンジャケットを置くと、それを部屋の隅に持っていかれた。
「なんでスーツなんですか?」
あまりにも自分が何も言葉を発していないのに気づいて言うと、そこを言われると思っていなかったのか、ふと笑った。俺には冷たいだけの目が一瞬だけ、黒い瞳が目にいっぱいになって犬のような愛らしさを見せて目を奪われる。でも本当に一瞬だけだった。
「衣装もらった。遅れそうだったから、そのまま帰って来た」
と言って、ただの面のように表情がなくなった。俺は手に汗をかいている。
 







つづく

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