夢の続き

東方神起、SUPERJUNIOR、EXO、SHINeeなどのBL。
カテゴリーで読むと楽です。只今不思議期。

「チャンミンくんの恋人56」ユノ×チャンミン


ベッドから立ち上がった。
断られても良い。言おう。
あんな特別な、いや、特異な人間は、俺の周りにはもういない。
けれど受け入れられたとすれば、俺はまだ全然ユノに追いついていない。


でも欲しい。


恋人の契約が欲しい。


あの相方とそれを交わしたい。


この話が現代のファンタジーなら、そしてまだ終わっていないのなら、俺とユノのこの先
が知りたい。



この話の続きが知りたい。



水音が聞こえていない風呂場に向かう。
暗い廊下から、バスルームのドアを開ける。
少し前に出たみたいだった。
ユノの部屋に向かった。
ドアをノックしたけれど、返事がない。
寝たんだろうか。
緊張している体や、高鳴った心臓は変わらない。
なのに、こんな数分で迷いが生じて来る。
やっぱり男同士で、どうするんだとか。
そっとドアノブを回した。
電気のついていない室内があった。
心が折れそうだ。
疲れている相方は起こせない。
だけど俺は、
正面のデスクを見て動きを止める。
そのデスクの上にあった部屋に、小さなクリスマスツリーが飾ってあったのを見て、はあっと息を漏らした。
安堵のような、感動したような溜息だった。
そうだ。少なくともユノは、忘れようとはしていない。聞きたい。あの相方の気持ちを聞かなければ。
そのままベッドを見たけれど、布団は平らなまま、誰も寝ていない。
首を傾げたその時。
視界の端で、


サンタクロースが見えた気がした。


まるで小さなツリーから出てきたように、デスクから椅子、床へ、とーんとーんと軽やかに下りて行く。


俺の足元を通り過ぎて、廊下に出て行く。


サンタクロース姿の小さなユノが、駆ける先を見ると、ダイニングに電気がついた。



――ユノがいる。



廊下に光が差し込んで、足を向ける。
気付いた俺にサンタクロースが嬉しそうに振り返った。
小さなパトカーが足元を通り過ぎた。
運転席から警察官が顔を出して、俺に言っている。
廊下の隅で忍者がぽんと出て来て、声をかけてくる。
彼らを踏まないように小走りに歩く。
顔の横に小さなスーパーマンも飛んできて、俺の周りをくるくる旋回しながら言う。
ぱたぱたと黒い羽を広げて、悪魔も飛んでくる。
コックもクリームを泡立てながら、こちらを見上げて喋っている。
小さい声だけれど、聞き取れないわけじゃない。
楽しそうに笑いながら、みんなが俺に言っている。


『早く、早く、俺に伝えて!』


虎になったユノ、急患があったように走っている医者になったユノ、ありとあらゆる小さなユノが、廊下いっぱいに俺を誘導する。
迷彩服を着たユノが、停まっていた小さな戦車に乗り込んで、お祝いを上げるようにぽこぽこと大砲を打った。
タキシード姿のユノが踊りながらついてくる。天井から生えたつるに掴まったターザン姿のユノも顔の横を横切った。
パレードのように取り囲まれながら、逸る気持ちで足を進める。
もし、ユノがまだ同じ気持ちでいてくれたら、それに追いつくように。
ダイニングの前に辿りつくと、ドアの下に水色の上着の小さな王子が礼儀正しくお辞儀をして、ひるがえした掌をドアに向けた。


「どいて下さい。踏みますよ」


いつの間にか涙声になっていた俺の憎まれ口に、笑いながらそこから逃げる。



消える。



ドアを開けた。










つづく

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