夢の続き

東方神起、SUPERJUNIOR、EXO、SHINeeなどのBL。
カテゴリーで読むと楽です。只今不思議期。

「夢の続き65」ユノ×チャンミン

「我が友人、シム・チャンミンが余裕そうで俺は嬉しいよ」



学食に向かう途中の校舎と校舎の間の通路で、無視をしている俺にグレーのコート姿のキュヒョンが同じことを二回笑って言った直後。



「チャンミンさん、キュヒョンさん!」



後ろから呼び止められた。


振り返ると爽やかな笑顔で片手を上げて、俺達の前に青いシャツに黄色いベスト姿のカラフルな好青年が駆けて来た。


「あ、えーと、君は」


なんか見たことはあるんだけど。


「蓑です。蓑に輝く男で蓑輝男です!」


そう言って口角の上がった横に長い口をにかっと笑わせた。



「ああ、蓑君。君は確か去年の文化祭で、うちの学科が全学年合同でする展示会で一緒に係員になった間柄だよね」


殆ど面識がない。


「お前は頭がどうにかしたのか」


隣でキュヒョンが呟く。


「なんて説明的なセリフ言うんですか!いきなりびっくりしましたよ!」


「ごめん。ちょっと言ってみた」


「まあいいですけど。先輩たちこの前の土曜日スーパーにいたでしょ?」


「いた。あの日大変だった」


キュヒョンが答える。


「すごい目立つ三人がいたから、みんな見てましたよ。なんか卵の前で叫んでたでしょう?」


俺とキュヒョンが思い出すように視線を上にした。


「お前だろ」


キュヒョンが俺を見る。


「お前じゃない?」


「いや、それはいいんです。それで、もう一人俺と同じくらいの背の人いましたよね?」


俺がまた視線を上にして、キュヒョンを見る。


「いたっけ?」


「いただろ」


キュヒョンが正面を見ながら呟く。


え、ああ、ユノ?確かに同じくらいか。


「あの人、うちの学校の人ですか?」


「違うよ。老けてるでしょう?」


「散々だ」


キュヒョンがまた呟いた。


「老けてないですよ!それで、俺、映画の連中と一緒にいたんですけど、


知り合いならあの人の連絡先聞いてほしいって言われて。作品に出演させたいみたいで」



「ほお」



隣で声が上がる。




ユノをか……。それはどうかなあ。







只今12時2分(ユノの退役まで457日)

「夢の続き64」ユノ×チャンミン


「ユノさん、俺の専攻知ってますか?」


「え?」


朝起きて、フライパンを持ったユノに言う。


俺は寝ぼけ眼のまま、昨晩、とりあえずユノが俺の何を知っているのか気になったのを思い出したのだった。


ベッドから上半身を起こした俺に、フライパン片手のエプロン姿のユノが、「おはよう!」と言ってきた返事がそれだった。


ユノが口を開けている。


「え、せんこうって」


「大学の」


「えっ、それは、だって……」



うん、だよね。


そりゃあ、誰だって、あの部屋にいて、毎日これを持ってるのを見れば、
分かりますよね。



質問間違えたな。



「……年明けのテスト週間が終わると、君たちはすぐに審査になります。もう春から言っているように、この時期は現像室は込み合います。だから、早め早めに現像するように言っていましたが、もう間に合わなくなっている人が出てきてますね……」



俺は話を聞きながらもレンズの汚れが気になって、これをどうにかしたい衝動に駆られていた。


この実習室の蛍光灯をはめこんだテーブルは普段見逃している汚れもすぐ見える。


でもここで拭くわけにはいかない。


今日何時に終わるだろう。


火曜日寝起きざまにしたユノへの質問を思い出していた。


そりゃあ、ばっちりユノは答えたけど、当たり前で。



「シム・チャンミン」



俺の間抜けな質問タイムはそれで終了した。




「シム・チャンミンっ!!」




「え、あ、はい!」


いきなり自分の名前を呼ばれて顔を上げる。


しくじった。



「そんなに君は自分のカメラが気になるか?」


「あ……いえ……」



視線の先でキュヒョンが目を輝かせて怒られている俺を見ている。




睨んだ俺に一層目を輝かせた。






只今11時13分(ユノの退役まで458日)

「夢の続き63」ユノ×チャンミン

いいから早く食えって。ユノのフォークを渡すと、俺の顔を見ながら食べた。


その目が丸くなった。


「んーー!チャンミン!美味しいっ!」


悶えた。


「でしょ!」


ユノが頷きながら夢中で食べ始めた。


カレーに引き続き、完全にグルメ生活だ。



食べ終わって、ユノがうとうとし始めたので、今日は後片付けを俺が全部することにした。


皿を洗いながら時計を見ると、まだ九時にもなっていない。


全て洗い終わって、振り返ると、ユノは完全に寝ているようだった。


律儀に壁にぴったりついている。


俺はシャワーを浴びてないから、まだ寝ないけど、静かにベッドの端に腰掛けた。


その寝顔を見る。


こっちに顔を向けてくうくう言っている。


じっと見つめる。




――ユノは、俺の好きな食べ物を知っている。




カルボナーラで確信した。



布団に顔半分つっこんで、良く寝ている。


瞳が大きい目が目蓋で隠されている。



今までユノが俺に出してきた料理は、俺が普段よく食べるものばかりだった。



インスタントラーメン、おでん……弁当はユノの前で選んでいたものだったから、それを覚えてたのかと思ったけど。


一昨日みんなと行ったスーパーで、うちにまだあるユノが俺に作ったインスタントラーメンを見た。
俺はインスタントラーメンは良く食べるから、あれは新商品かと思ったけど、ただ俺が見逃していただけのようだった。


あれは俺の好みの味だった。



ユノは俺の好きな味付け、学食で好んで食べてるものも多分知っていた。



店長が弁当が多いことは一緒に働いてるから分かってたかもしれないけど、
キュヒョンがいつも野菜を殆ど食べてないことも多分知っていた。


あのカレーは、ただ料理を食べさせるのが目的ではなく、風邪でお世話になった人に恩返し的な感じなのかと思ったけど、温かい手料理や、野菜を食べさせたかったのもあったんだろう。


俺の料理がうまいと言った。


あの焦げたチゲを食べただけで、そんなこと言えるものだろうか。




手を伸ばして、そっとその前髪を横に流した。


俺は最近アシンメトリーにして前髪をのばしてるけど、ユノも長い方だ。


ユノは前髪を分けるから、俺みたいに目元が隠れるわけじゃない。


目蓋に隠れた瞳の大きな目は、時々人間味がなく見える。


良く笑うし、あんな調子だから、そんなこと感じさせないけど。



出会った日に、俺の何でも知っていると言った。



俺はこの人のことを何も知らないのに。








只今21時02分(ユノの退役まで459日)